月額36400円のAI(Gemini ultra)に小説書かせてみた。(SF編)
LucaVerce
第1話:『凝り固まったデタント』
それでは、第1話の執筆を開始します。
タイトル:『脊椎外交官』 第1話:凝り固まったデタント
親指の腹に、ゴリリ、と不快な音が響く。 岩盤のように硬化した僧帽筋の深層。そこに溜まった老廃物の塊を、俺はゆっくりと、だが慈悲深く押し流した。
「あ……ぐ、ぅ……ッ!」
施術台の男が、くぐもった悲鳴を上げる。 ここは地下三階。換気扇だけが回る、湿ったコンクリートの部屋だ。 俺は手についたキャリアオイルをタオルで拭い、男の耳元で囁いた。
「力が抜けていない。呼吸を止めれば、筋肉はさらに強張る」 「だ、だって……誰かに触られるなんて……十年ぶりで……」 「そうだろうな。今はそういう時代だ」
西暦二〇四五年。 パンデミックの連鎖は、人類から「接触」を奪った。 国連は『ゼロ・タッチ条約』を可決。握手は違法、ハグは重罪、性行為すら管理されたVR空間でのみ許される潔癖のディストピア。 そんな世界で、俺は法の目をかいくぐり、生身の指で他人の肉を揉む。 非合法徒手療法士(イリーガル・セラピスト)。それが俺の裏の顔だ。
施術を終えた客が、紅潮した顔で震えながら、仮想通貨のチップを弾いて出て行った直後だった。 店の奥にある重厚な鉄扉が、ノックもなしに開いた。
「いい腕だ。葛原(くずはら)」
入ってきたのは、防護服を着ていないスーツ姿の男だった。 俺は眉をひそめる。 「予約のない客は断っている。それに、ここは会員制だ」 「客ではない。依頼人だ」
男は懐から、一枚のホログラム映像を展開した。 映し出されたのは、ニュースで誰もが知る顔。東欧の大国、ヴォルガ共和国の最高指導者、イワン・ボルトフ大統領だ。 映像の中の彼は、国連総会で演壇を拳で叩き、西側諸国への核報復を叫んでいた。鬼のような形相だ。
「第三次世界大戦の危機だ。ここ数ヶ月、ボルトフの挑発行動は常軌を逸している」 スーツの男は淡々と言った。 「外交官も、心理学者も、AIによるプロファイリングも、彼が暴走する理由を突き止められなかった。だが、我々の分析官が一つだけ、奇妙な兆候を見つけた」
ホログラムが切り替わる。 それはボルトフ大統領の演説中のサーモグラフィー映像だった。 俺は目を細めた。 真っ赤だ。怒りではない。物理的な炎症反応だ。
「……右の腰方形筋から、大殿筋にかけて過緊張が見られる。それにこの姿勢、骨盤が右に傾いているな」 「分かるか?」 「ああ。演説のたびに演壇を叩くのは、威嚇じゃない。体を支えるための無意識の代償動作だ。右足に体重を乗せられないほどの痛みを隠している」
俺は画像の一部を拡大し、断言した。 「坐骨神経痛だ。それも、かなり重度の」
スーツの男が頷く。 「その通りだ。ボルトフは極度のVR依存症で、一日の大半をダイブして過ごしている。脊椎への負担は限界を超えているはずだ。痛みによるストレス、睡眠不足、それらが彼の判断力を奪い、世界を核の炎で焼こうとしている」
男は俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「葛原。君に依頼したいのは、暗殺ではない」 「……まさか」 「そうだ。ボルトフの官邸に潜入し、その『腰』を治してこい。彼が核ボタンを押す前に、その指で凝りをほぐし、正気を取り戻させるんだ」
俺は呆れて溜息をついた。 世界平和がかかったミッションが、マッサージだと? だが、俺の職人としての血が、微かに騒いだのも事実だった。 世界を敵に回す独裁者の、鉄のように凝り固まった筋肉。それをほぐした時、一体どんな手触りがするのか。
「報酬は?」 「条約違反による君の指名手配の抹消。そして、最高級のホホバオイルを一ドラム缶」
俺は壁にかけてあった施術着を手に取った。
「悪くない。……準備をしよう。道具は指だけでいい」
(第1話 完)
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