腹話術探偵

N

第1話 謹賀新年!大鳥氏殺人事件

※ この作品は素人による拙い文章の空想創作物語です。



 大鳥邸。


 夜。

 警察。救急者。などの赤色灯が近隣を赤く照らす。

 オシャレなデザイン。モダン。和風。洋風。

 様々な形の豪邸が建ち並ぶ。

 野次馬達が大鳥邸を覗き見る。


 Keep OUTの黄色いテープが張られ。

 警官が野次馬達に対応している。



 パトランプを乗っけた乗用車が徐行して大鳥邸前に到着し。

 助手席から大柄で年配の男が降り立つ。


 急ぎ警官がその男の前に走り寄る。


「警部!お待ちしておりました!」


 警部と呼ばれた男。

 捜査一課。佐藤利夫。

 砂糖の様に人情味ある甘い男。かと思いきや。

 黒と判ると塩の様に塩っぱく対応し 自供まで持ち込む。


 砂糖と塩の両面を持つ男!


 

 大鳥邸の中から部下の刑事がやって来る。

 警部を屋敷へと誘導しながら報告を始める。


「被害者は大鳥萬太郎 79歳 寝る前にチェリー酒を一杯飲む習慣があるそうですが……その酒に毒が盛られたらしいです」


 警部は黙って聞きながら。ビニール靴カバーを履く。


「死亡推定時刻は22時頃です」


 鑑識に挨拶して行く警部。

 1人のベテラン鑑識を目にし。


「山さん!お疲れサン 今度どう?」


 と酒を飲む仕草をする。

 苦笑いで返したベテラン鑑識の山さん。


「大鳥邸には 御家族や小間使いの方達がいます」


 屋敷内に外出禁止で警部の来るのを待たされている。


 大鳥萬太郎氏の妻。華子。

 長女。麗子。

 長男。久太郎。

 

 大鳥会長の秘書。立花雄二。(華子

の愛人)

 小津孝雄。(麗子の婚約者)



 小間使い。滝川世喜子。

 小間使い。三木琴江。

 小間使い。小野沢菊美。


 警部が応接間に入る。

 家族達は不安顔の者。苛つく者。思案している者。色々だ。


 刑事が家族達に警部を紹介する。


「皆さん こちらは捜査一課の佐藤警部です!」


 何とも言えない表情で それぞれ頭を下げる。


 そこへ佐藤警部の片腕的存在。氷室刑事が所轄の刑事とともにやって来る。


「警部!ご苦労様です……青島田君 状況報告は済んだかい?」


 今まで警部に説明していた刑事。青島田が頷く。

 警部は氷室刑事に顔を向けた。


「氷室!来たかい?」


「はい……来ました……小早川君 お連れしてくれないか」


 所轄刑事の小早川が応接間から出ていく。

 青島田は何がなんだか分からない顔をした。


 当然 御家族達も「何?」と言う顔をした。



 小早川刑事に連れられ応接間に入ってきたのは。

 黒いコートに身を包み。手には少し大きめの まるで棺桶の様な形をした鞄を持っている 小柄な青年。


 佐藤警部が笑顔で招き入れる。

 青島田は不審気にその青年を見た。


「やァやァ!久しぶりだね 漆黒堂君」


 青島田刑事は氷室刑事に小声で尋ねた。


「誰ですか?」


「腹話術探偵の漆黒堂だよ……君は配属したばかりだから初めてだね」


 警部は家族の方達に向き言った。


「皆さん!これで事件は解決です!」


 驚く家族達。警部は何を言っているんだ?まだ捜査も行われていない!


「どう言う事ですか!」


 声を荒げる青島田刑事。

 落ち着けと たしなめる氷室刑事。


「我々の基本捜査は幾つかの可能性を捜査し ひとつひとつアリバイ 証言 証拠を見つけ消去し 事件解決に導く」

 

 青島田刑事は「その通りだ!」と言わんばかりの顔で頷いた。


「この基本捜査はかなり時間と手間がかかる……分かるだろ?」


 当然じゃないか!それが当たり前だ!と青島田は思った。


「だが 漆黒堂は犯人を言ってくれる……後は我々がその犯人のアリバイを崩し動機や証拠を見つけるだけ……はじめから一点に集中した捜査が出来るんだよ」


 ハァ?氷室刑事は何を言っているんだ?と改めて思った。

 佐藤警部は少しドヤ顔で言った。



「だいたいだな 江戸川乱歩も横溝正史もアガサ・クリスティも我々の捜査状況を事細かに伝え過ぎなんだよ!」


「警部…3先生とも探偵や犯人の動きは追ってますが 警察の動きはそれ程語られてませんよ」


 氷室刑事が冷静に言った。


「そうかな?……サッ!はじめてくれ漆黒堂君」


 警部がバツが悪そうに言った。

 

 漆黒堂は鞄から一体の人形を取り出した。

 まるで眠りについている様な 洋風造りの少女の人形。


 氷室刑事が漆黒堂に椅子を差し出す。

 その椅子に座り 太腿の上に人形を座らせる。

 人形の眼が開いた。

 首をユックリと振り。辺りを見回す。


 異様で異質な光景に 漆黒堂を初めて見る者達はゾッとした。


『あぁ眠い……起こされてみれば 久しぶりの事件なんだね』


「ごめんよメリー 警部と氷室さんの依頼だ 頼むよ!」


 不気味だ!我々は何を見させられているんだ!

 青島田刑事はじめ家族達は漆黒堂から目が離せないでいる。


 警部は笑顔でメリーなる人形に話しかける。


「やァ久しぶりだね メリー! またその名探偵ぶりで犯人を言い当ててくれんか?」


 人形は右 左と首を振り。

 時折瞼を綴る。

 

 ピエロや人形恐怖症が見たら逃げ出すのでは?と思う。

 茶番だ!と青島田刑事は思った。


『私達は探偵なんて一言も言ってないワ……警部や氷室が勝手に言い出したのよ』


「メリー そう意地悪しないで 早く済まそうか」


 『仕方無いわね……』


 人形は家族達を見渡す。

 瞼が閉じたり 開いたりする。

 不気味だ。


 警部が尋ねた。


「どうかね?」


 メリーなる人形と漆黒堂がヒソヒソとお互い耳打ちする。

 何が面白いのか2人とも笑ったりしている。


 えっ !? 可怪しい!お互い笑っている。

 「ウフフ」「はは」と笑っている。

 青島田刑事は小声で氷室刑事に言った。


「け・刑事……あの笑ってます」


「それがどうした」


「一緒に笑ってますよ」


「………」


「腹話術の技術ですか?同時に違う声を発して笑うのは……」


「………忘れろ」


 忘れろだと!青島田は目が離せなくなった。

 笑うだけでは無い。

 同時に会話もしてるゾ!


 何なんだよ!気持ちが悪い!


 メリーが青島田を見た!

 目が合う。

 思わず「ヒッ」と言ってしまった。


「どうしたい?メリー」


『何でもないワ』


 氷室刑事が聞いた。


「話しは まとまったかな?」


 メリーと漆黒堂は家族達を見た。


『警部 氷室 犯人は小間使いの3人よ……』


 小間使い達は驚き騒いだ!


 「何を言い出すンですか!」

 「私は殺してません!」

 「何ですか!この変な人達!」

 「証拠でもあるんですか!」


 メリーと漆黒堂はそんな小間使いの言葉など無視して椅子から立ち上がった。


 警部は氷室達に指示した。


「ご同行願いたまえ!」


 青島田が叫ぶ。


「イヤイヤ警部!証拠は?動機は?腹話術師 説得力ある事を言ってみろ!」


『そんな事はあなた達の仕事でしょ?甘えないで欲しいワ』


「確かにそうだね メリーの言う通りだ!動機や証拠を僕達が言ったら警察要らないネ」


『氷室 役立たずじゃないわよネ?』


 氷室刑事は笑いながら。


「当然でしょ……お二人ともご足労に感謝します!」


 氷室刑事は小早川刑事に。


「お2人を 車までお送りして下さい」


 納得がいかない青島田刑事を警部の一言で黙った。


「青島田 お前はなんだ?刑事か?……刑事として本来の仕事をせず 文句言う怠慢野郎は必要ない」





 ひと月後。


 3人の小間使いは自白した。


 









 

 

 


 

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