少し長く生きていると、いくつもの波が押し寄せる。よく生きているなとか思い返すこともある。誰も救ってはくれない。結局自分が何とかするしかない。でも導いてくれるものはある。本、音楽、絵、人……それぞれだ。いったい彼はどんなに落ち込んで、何に導かれたのか。クリスマスキャロルのように毎年、この季節に読みたくなるし、どうなるんだと考えさせられる。
夜の本屋さん。流れるワルツ。また会う日を願って、彼女は笑う。そんな思い出に、恋焦がれる男がいた──。冬の寒い夜に、おすすめな一作です。
音楽に想いを馳せるひとのお話その曲に込められた思い出と、その曲の本当の意味を感じる作品です。ちょっと寂しくなった時にお読みください
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(55文字)
夜の本屋を舞台に、亡き妻が遺した「別れのワルツ」が、罪に沈んだ男の心を静かに救い上げる物語。音楽が記憶を呼び起こし、過去と現在、生者と死者の境界をそっとつなぎます。怒りではなく受容で迎える店主の姿が、失われた優しさを思い出させてくれる、、別れを“終わり”ではなく“帰るための約束”として描き、読後にあたたかな余韻と再生への希望を残すあたたかな物語。