03|報道特集(書き起こし)

2021年9月14日放送

テレビ██「報道最前線」 報道特集(書き起こし)



〝見えないふり〟といういじめ ~子どもたちの沈黙〜



ナレーション:

 続いては、報道特集です。


 最近、全国の小中学校、高等学校で、いじめの新たなかたちが問題になっています。それは、「無視」や「存在を扱わない」といった、表立った暴力を伴わないいじめです。子どもたちの間では「見えてないふり」や「存在スルー」などとも呼ばれ、静かに、しかし確実に、じわじわとクラスの空気を支配しています。



(取材班による学校訪問映像。全体的にボヤかされた映像で、校庭を駆け回る児童のの様子。はしゃいでいるような声。校舎入口で軽くお辞儀をする年配の男性。)



ナレーション:

 このしゅのいじめについての報告は、実は2000年ごろから教育現場で散発的に確認されてきました。当初は、友達同士のグループ内で自然に疎外される程度で、よくあることと見なされることも多く、大きく取り上げられることはほとんどありませんでした。


 しかし近年、この「無視型いじめ」の相談件数が急増しています。原因は定かではなく、教育関係者の間でも見解は分かれています。



担任教諭の証言:

 手を挙げても誰も指さない、体育のチーム決めでも名前が呼ばれない。本人はもちろん、見ている側にも重い空気が残ります。


 ……でも、加害側の生徒に「なぜ無視したのか」と聞いても、「見えてなかっただけです」って、随分あっさりと言うんです。わるなんて全然なさそうで、もう苦笑いするしかありませんよ。


(ジャージ姿の男性。首から下のみを映す。匿名。)



加害経験のある中学生の音声(匿名、声加工あり):

 別にいじめようってつもりはなかったです。なんか、自然と……視界に入らなくなったっていうか……。話しかけられても気づかなかっただけ、って思ってました。


(白い背景の殺風景な部屋。パイプ椅子に座る児童。首から下のみを映す。)



ナレーション:

 こうした言い訳は、教師や保護者からの追及をかわすための方便、とっの言い訳であることも少なくありません。しかし、無視される側にとっては、人格の否定に等しい行為です。



教育カウンセラーのコメント:

 加害側が「やっていない」という前提で話を進めると、被害者は声を上げづらくなります。大人の側が「見えないいじめ」をどこまで見抜けるか、試されていると言っても過言ではありません。


(オンラインミーティング画面。やや粗い画質。年配の女性。)



ナレーション:

 目立たず、証拠も残りにくいこの見えないふりといういじめ。子どもたちの沈黙の裏に、今、大人が見過ごしてはならないサインが潜んでいます。

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