第9話 ヤンデレ地雷同士の謎すぎる地雷マウント合戦


 亜豆李と摩耶菜に案内されて女子しかいない楽園へ。


 まさか女慣れのトレーニングが始まって2日目でこんなところに入れることになるとは……。


 宿舎の中へ入った瞬間、ここが女子たちの聖域であることを思わせる甘々なルームフレグランスの匂いと、やけに煌びやかな内装。

 見るからに高そうな絵画やツボが、美術館のようにズラッと廊下に並べられていた。


「すっごい寮だね……まるでリゾートホテルみたいだ」

「百合ヶ原の寄宿舎の中でも、白百合館は年間の成績上位の生徒に対して、ご褒美となる一人部屋を与えるために多額の建設費を投じて作られた最高級の寄宿舎なんですよ♡」

「へえ……じゃあ二人ともめちゃくちゃ優等生ってことか」

「えへへー♡」


 見た目も学力も優秀とか、二人とも凄いな……。


「さあ、部屋に向かいましょ? 陵矢さんっ」

「う、うん」


 一応、亜豆李が言うには、ちゃんとここの寮長から俺が来る許可はもらっているみたいだが、結局なぜか裏口(?)のドアから入る羽目に。


「ね、ねえ、本当に大丈夫だよね亜豆李? 本当に許可、もらってるんだよね?」

「……え、なんで陵矢さん、わたしのこと疑っているんですか? 信じてよ……どうしてわたしを疑うんですか!」


 亜豆李はちょっぴり重い時と同じような真顔で、低いトーンになり淡々と聞いてくる。


 いや、なんでも何も……自衛のために決まってるんだけど。

 もし許可が降りてがなくて俺が入ったことがバレたら、怒られるだろうし、下手したら警察沙汰にもなりかねない。


 明日の朝刊に『女慣れ目的の男子高校生・名門女子校の女子寮侵入。身柄確保』なんて記事が出たらヤバい。マジで。


「新島さんの部屋は一番奥です。陵矢センパイ」


 亜豆李と摩耶菜ちゃんに案内されながら、俺は亜豆李の部屋へ。


 それにしても……。


 俺の左隣に並んで歩く摩耶菜ちゃんの方を横目で見る。


 摩耶菜ちゃん、やけに喋るな……。


「あの、陵矢センパイ」

「ん? なに?」

「私のことは摩耶菜で……いいので。私とセンパイの仲じゃないですか」

「あ、うん。分かったよ……ま、摩耶菜?」

「……っ」


 摩耶菜は口をキュッと結びながら、ほんのり口角を上げた。


 よ、喜んでる……? 


 いや待て待ておかしいおかしい。

 俺と摩耶菜ちゃんって、麻希の家の廊下ですれ違ったことがあるだけだよな!?

 しかも毎回、なぜか俺が麻希の部屋からトイレに行く時にだけすれ違う……それだけの関係性が、私とセンパイの仲、だと???


 他人にもほどがあるだろ!!


「斉藤さん、あんまり無理してマウントとろうとしなくてもいいですよー? わたしの方が先に呼び捨てにしてもらってますし、陵矢さんのトレーニング"パートナー"は"わたし"なので」


 やけにパートナーの部分を強調する亜豆李。

 これって俺が教わるだけだし、トレーニングパートナーとか言わないと思うんだけど……。


「あなたの方こそ……陵矢センパイと何回会ったことあるの? 私は最低でも50回くらいは陵矢センパイとすれ違ったことあるけど?」


 いや、すれ違った回数とかなんのマウントになるんだよ!


 二人とも無理して俺でマウント合戦している……どうしてこんなことに。


「さあ陵矢さん着きました。ここです。どうぞわたしの部屋へ」

「うん……お邪魔しま……っ!?」

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