第2話 試しに歌う

 まず何をするか。


 答えは、すぐ出た。


「……歌うか」


 理由は単純だった。


 スキルに《音楽の才》。

 成果が分かりやすい。

 そして――好きだ。


 前世では、

 音楽は「癒やされる側」だった。


 今世では、

 鳴らす側になれる。


 スマホを固定し、

 マイクを繋ぐ。


 特別な機材じゃない。

 だが、十分だ。


「テスト……」


 声を出す。


 喉に、無理がない。


(いいな)


 録画を開始。


 曲は、昔よく聴いていたもの。


 歌い出す。


 最初は確認するように。

 途中から、自然と声が乗る。


 歌い終えた瞬間。


【歌唱経験値 獲得】

【魅力+1】


 画面を見て、少し笑う。


「ちゃんと、伸びるな」


 確信が、胸に落ちた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る