未同意
@REDDAY
未同意
総務室のドアを叩く。
中から「どうぞ」と女性の声が聞こえた。
私はドアを開け受付の女性に向かい、
「先程、給与査定方法の変更決定に対してメールをしたものですが」と声をかける。
「ああ、お待ちしていました。奥の打ち合わせスペースへどうぞ」
受付の女性が担当もしてくれるらしい。同じスペースへ移動する。
「早速確認なのですが、私は給与査定の変更についてまだ回答をしていません。実は私以外の社員も同じで考えている途中でだといっています。だけどもう決まってしまったんですよね?」
「はい、ご認識の通りです。我々は今回の疑義に対し全社の皆さんへご連絡をしました。その結果、多くの社員が同意の連絡がありませんでした。結果ほとんど同意を返した役員層の意見で今回の結論となりました。」
「不同意という形を取る必要があった、という理解で合っていますか」
女性社員は「ご認識の通りです。同意・不同意が記録されていない以上、あなたのその意見は今回の決定に影響しません。」と返した。
「不同意という形を取らなかった理由は、記録されていません。何か入力をされましたか?必要であれば情報システム部へ確認いたしますよ。」女性は協力的にいった。
「それは・・・」私は答えられなかった。
「ご相談は以上ですね。事前に合意した相談時間になりましたので、これで終わりますね。」女性は笑顔で席を立ち、受付の席へ戻っていった。
自分のオフィスへ戻る。PCを開くと会社のイントラ掲示板には「給与査定変更の通知」がトップ画面に残っている。
「どうだった?」隣のデスクの同僚が私に聞く。
「掲示板の通りだってさ」私は総務室での会話を思い出し答える。
「『まじか』と同僚は言い、それ以上は何も聞かなかった。」
その時PCから社用メールの受信音が届いた。
「【重要】給与査定変更結果について」
中身を見ると査定の詳細が書かれていた。生活に困るほどではないが来月からの給与が下がることを伝えるものだった。
私は反対しなかった。
ただ、同意しなかっただけだ。
未同意 @REDDAY
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