冒頭のリズハとファミールのやりとりが、
駆け引きっぽいのに、二人とも妙に誠実に感じられました。
いじめに遭っても自分の信念を貫くリズハと、
そっと寄り添うファミール。その関係性に心が温かくなります。
ボナルド国とアロール国の空気感、
そして時折挿し込まれる歌が、やさしい夢と歌の世界へ導いてくれました。
本編主人公メロウとリズハ、
「見える人」と「夢で導かれる人」。
似ているのに同じではない二人が、同じ舞台で歌う構図に、自然と胸を打たれます。
ルリア様の存在も、歌や記憶として残り、
次の世代をそっと見守る存在だと感じられました。
ファンタジーですが現実的な質感を持った、誠実な物語です。
読後には、その歌が自分の中に、
想いとして残るような、そんな優しい気持ちがあとを引きました。