第3話

「おい!! チビっ子! 起きろ!?」


荒々しい叫び声と共に、乱暴に扉を叩かれる。

私は扉を開ける前に、時刻を確認する。


『10:16 』


・・・起こされるの早くないか?


疑問に思いつつも、私は扉を開けた。


「おい!? 見ろよ、コレ!?」


扉を開けて早々、久羽が私の顔にスマホを突きつけた。その勢いに私は思わず、のけぞる。


「朝から叩き起こして・・・なんだよ?」


私はスマホの画面をまじまじと見つめた。


『世紀の大虐殺 異能者集団 アップル・ベアリーズによる製薬会社の襲撃!?』


それはそこそこ有名な新聞社のネット記事だ。


「コレがどうしたんだ? 私達が引き起こした事件が報道されるのなんて珍しくないじゃないか」


「寝ぼけてんのか!? しっかり見ろよ!」


久羽は叫びながら、スマホを手渡した。


「世紀の大虐殺、異能者集団アップル・ベアリーズによる製薬会社の襲撃・・・? 待て! 世紀の大虐殺ってなんだ!?」


「俺も知らねぇよ!? けどコレ読んだらさ、追いかけてきた警備員が、異能者によって虐殺されて・・・犯人は俺たちだと」


「・・・依頼人ッ!?」


私はスマホを地面に叩きつけた。


「ちょッ! 人のスマホに何を・・・」


久羽が狼狽えるがそれどころではない。


「嵌められた! 嵌められたよ、ちくしょう!?」


昨夜送られてきたメール。


『明日を楽しみにするがいい』


『私は代弁者だ!?』


点と点が全て繋がってゆく。異様に高い前金、異常なほどの警備員、昨夜のメール。


どうやら私達を、『アップル・ベアリーズ』を誰かが貶めようと、社会的に又は物理的に壊そうとしている奴らがいるらしい。その時、少しずつ、少しずつだが怒りが湧いてくる。

今までにないほど狡猾な、仮想敵に。


「私に喧嘩を売ってこと、後悔させてやるッ」


私は叫びながら扉を開けようとした。その後ろからは急いで革ジャンを羽織り、金属バットを持ち上げる久羽がいる。


私が怒りに身を任せるなか、『アップル・ベアリーズ』のチャイムが鳴らされる。


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