第10話

俺は悩んだ。

「願いねぇ〜。

 まあ、確かに昔はたくさんあった気もするんだけど……」

「そうだろう? あっただろう?」

「しかし、どれも手放してみると、どうってことなかったっていうか……」

「どういうことかね?」

「諦めたというか、飽きたというか……」

「吾輩に願えば、諦める必要はないぞ」

「いや、別に俺じゃなくても良かったというか……」

「お前じゃない? じゃあ、誰なんだ?」

「誰ってわけじゃないけど、誰かだよ」

「どういうことだ?」

「さっきお前も言ったけど、人は生まれながらに平等じゃない。才能のある人もいれば、ない人もいる」

「そうだな」

「そして、世の中も公平じゃない。これも仕方がないことだ」

「そう。だから吾輩が生まれる。人の欲望が吾輩を生むのだ」

「でも、そのなかでも得意なことを一生懸命やってれば、それを見た誰かが俺の夢を叶えてくれるんじゃないかと思うんだ。

 テレビのコンビも、彼らは成功できないかもしれないけど、彼らを見て育った誰かが爆笑王になるかもしれないだろ?」

「まあ、可能性はあるな」

「いや、きっとそうなるよ。俺も英語しかできないけど、俺の教え子の誰かがきっと世界に羽ばたいてくれる」


気づくと、悪魔は頬杖をついて俺の目をじっと見ていた。

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