全十一話
真白透夜@山羊座文学
第1話
教師にはならなかった。小学校のときから、学校という制度になじめなくて。怒っている先生も怒られている子どもも可哀想だった。なりたい職業はなかったが、なりたくない職業は教師が一位だった。
大学に入るにあたり、父のつてで下宿をすることになった。佐藤さん夫婦には俺と同い年の麟太郎がいて、離れて暮らすことになる俺にとっていいのではないかと父は考えたらしい。
引っ越し荷物を運び入れようとしたとき、麟太郎が家の奥から出てきた。「手伝うよ」と彼は言って、俺の手から大して重くないダンボールを受け取った。右手に腕時計をはめている。今どきスマホで時間がわかるのに。と、思いながら、階段を上がる彼の背中を見つめた。
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