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昔見たアニメのトラウマは何もホラーや残酷な場面だけでは無いものである。余りにも突飛すぎるギャグだって、視聴者からしたら十分にトラウマでホラーである。


帰って来た鏡花は窶れた顔をして、ただ淡々とこんな事を言った。

「あのさぁ瑠衣たん。コーン付きバニラアイスに穴子の蒲焼乗っけて食べてるアニメって地味に強烈なトラウマだと思うの。なんらトラウマなの」

改めて顔を見る。クリスマスだと言うのに顔はやはり窶れていた。仕事納め故にまだ仕事が完了しなかったのかも知れない。それ故に変なもうそうをしてしまったのかも知れない。

ただ分かるのは、此奴が突拍子もない事を言っているという事である。

「まぁ入れ」

そう言うと大人しく中に入り、黙って自分の部屋に籠っていそいそと準備を始めた。夕食に着いてからも始まるのはそのカオスな話題ばかりだった。

「今日一日暇でぇ、AIとお話する事で一日が終わったの」

まさかのサボりかよ。

「そしたら昔見たアニメの話になってぇ、ふわふわ通信のドーナツ屋、ナイチンゲールの子供が実は別人でぇ、懐かしいアニメの特定には至らず、幼児向けアニメ、かみちゃまもっかの主人公の好物である穴子乗っけバニラアイスが出てこないという。

記憶が改竄されている……? 状態でクリスマスを迎えているよ……」

そんな話題の真下ではビーフシチューにたこ焼きというカオスな光景が広がっていた。

チキンではなく、たこ焼きを買ってきた時点で、相当混乱しているのだろう。

「……お前、もう一旦休め。締切終わったんだろ」

「うん。疲れているのかな……」

こんな空気を醸しているが、恐らく本気で悩んでいるし、混乱しているのだろう。

出なかったらチキンではなく、たこ焼き、それもトッピング付きのものを二つ買っては来ないだろうから。

まぁそれはそれとして、俺も気になって来たので問い掛ける事にした。

「その不可思議な食べ物が出てきたアニメの名前は?」

「アニメ かみちゃまもっか 穴子 アイス で出てくると思うよ……記憶が間違えなければ……ははは」


そう言われ調べたのの、彼奴の言う通り、何一つ出てこなかった。なんなら主人公の好物までも病みに葬り去られていた。

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