第14話は、ミラルの心の奥底に潜む不安と愛情が、夢と現実を通して一気に噴き出す回だ。
これまでの章で積み上げられてきたミラルとリタの関係が、ここで初めて“失われるかもしれない”という恐怖に晒される。その揺らぎが、読者にも直接突き刺さる。
まず、冒頭の“お菓子の世界”の描写が巧妙だ。
甘くて楽しい夢の世界は、ミラルの無邪気さとリタへの信頼を象徴している。
しかし、その幸福が一瞬で崩れ、純白の天使となったリタが現れる場面は、読者に強烈な違和感と不安を与える。
夢の中でのリタの言葉――
「俺はもう、お前と一緒にはいられない」
この一言が、ミラルの心を深く切り裂く。
そして目覚めた後の“現実の喪失感”の描写が見事だ。
暖かさがない。
声をかけても返事がない。
羽根は紫紺のままなのに、リタはいない。
夢と現実が混ざり合い、ミラルの焦燥が読者にも伝染する。
村での手配書、村人たちの動揺、そしてリタが“自ら捕まった”という衝撃の事実。
ここで物語は一気に緊迫感を増し、ミラルの感情は絶望から怒り、そして決意へと変わっていく。
特に印象的なのは、村人たちの葛藤だ。
貧困ゆえに賞金に揺れる彼らの姿は、世界の残酷さを示しつつも、最後には人間の良心が勝つ。
ミラルが
「お金の件は、いつか私が何とかしますから」
と言い切る場面は、彼女の強さと優しさが凝縮されていて胸を打つ。
そしてラスト。
走るのが苦手なミラルが、必死に教会へ向かう姿は、読者の心を強く掴む。
“追う”という行動が、彼女の愛情と覚悟の象徴になっている。