ある日突然、友達も家族も全部置いて異世界に呼ばれた主人公・ヒナタ。けれど彼はすぐに状況を受け入れ、慣れない敬語は王族相手でもとっとと放棄し、「世界を救って」という無茶振りにも二つ返事で了承してしまいます。その様子が痛快!
けれどヒナタは何も考えていない訳ではありません。彼は彼なりに、自らの手でひとつずつ「できること」「しなければならないこと」をその世界の人々の為に考えていくのです。
そんな生来のものだろうひたむきな姿を見て、そして彼が抱えているものに触れて、パートナーの王子・セリアスは惹かれていくのですが、ただの好きだけではない複雑な情緒から織り成される厚みある愛情は、ヒナタを支え、包み、温めます。
世界を救うのは――あまねく人を想うのは大変なことで、時にはネガティブな感情が湧くこともあります。それでもなんとかと手を伸ばし続けるヒナタと、それを心身を捧げんばかりに支えるセリアスの物語は、胸をぎゅっと締め付けて、ときたまコミカルで、そしてなにより二人ならきっと大丈夫だと思わせてくれるのです!
表面上の綺麗事とか説教臭い道徳心とかじゃない。まっすぐに誰かを想うその気持ちに、ぜひこの作品を通して触れてほしいとおすすめしたくなる、素敵な物語でした。