第3話 森の神殿

鹿のティアと、カンガルーのルー…2匹の旅が始まる。


2匹は歩いていると、何やら建物が見えてきた。


「なんだあれ」


「神殿です。なんかの神?みたいな何かを封印してある場所って聞いた事があったんですけど、なんでしたっけ」


「いやわからんて。とにかく休憩させてもらお」


2匹は神殿の中へ入った。中は灰色の煉瓦造りで、風通しが良く、今夜の綺麗な月も相まって、とても雰囲気が良い。


「なかなか良いところだね」


「そうですね。ついでに観光しましょうか。多分あの部屋になんかが封印されてるらしいですよ」


入ってみると、なんと何もなかった。


「本当にこの部屋で当たってるの?」


「いや、ここで当たってると思いますよ?」


どこを探しても結局、封印されてる何かは見つからなかった。


「早く行かなきゃ、元日に間に合わない!ティア行こう!」

「そうですね……、まぁ良いか。じゃあ出口に向かいましょう」


ティアが外に出ようと出口へ移動すると、なんとそこは壁だった。


「あれ??」

「出口こっちじゃね?」


ルーが別の方向へ行くと、やはり壁。通った道を戻っても、出口は見つからなかった。


「もしかして迷子⁉︎」

「まぁ……そういう事になりますね」


さっきまで普通の煉瓦だったが、急に殺風景に見えてきた。


「あれここさっき来たっけ?」


「分からないです。同じような景色がどこまでも続きますからね」


2匹が怯えていると、何かの足音がしてきた。ヒタヒタと鳴る足音が2匹を恐怖に陥れる。


「…この音、この壁の向こうからじゃね?」

「そこのかどから来そうです…」


2匹は角の影に隠れ、迫り来る足音の主を待ち伏せしようとした。


「来たら蹴る!来たら蹴る!来たら蹴る!」

「それだけ聞くとめちゃくちゃ野蛮な人に見えますね」


やがて奴の影が見えてきた。ルーは思い切って足を突き出しながら、跳んだ。


「喰らえ!!!!!!!!!!!!」


「ふごっっっ⁉︎いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


奴が壁に突き飛ばされた。

ルーに蹴り飛ばされたのは、なんと鳥だった。彼も、2匹と同じくこの神殿で迷っていたようだ。


「チクショッ、迷子になって、しかも蹴られるとは、いてぇ………」


「ごめんて。でも怖いんだから、しょうがないじゃん。許して?」

「流石に許してもらえは…」


「許す。怖いから一緒に行こ」


「(あれ今、十二支のイベント中だよね?殺し合いになるかと思ってヒヤヒヤした)」


「そうか。じゃあ一緒に行こうじゃないか、鳥」


急な展開についていけないティアなんか気にせずに、ルーと鳥は前へ進んでいった。




「うわぁ、なんだか美味そうな匂いがプンプンするかと思ったら、カンガルーさんと鳥さんと鹿さんか〜。いただきまーす!!」


途中で大蛇が出てきた。ルーは噛みつこうとする大蛇の口内に石を投げつけた後、鳥が目をつつく。


「うわぁ!!2対1はずるいよ〜!喰らえチキン!!」


大蛇は口から弾を吹いた。弾は高速で部屋内を飛び交い、壁を貫通した。


「え〜〜〜⁉︎⁉︎⁉︎」


「どうだ〜、驚いただろ〜。なら驚いたまま死ぬが良いいい!!」


大蛇はルーを尻尾で転ばした後、弾を吹いた。


「ま、まずい!!」


「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


ティアが猛スピードで近づき、弾を角で弾いた。


「危ない……大丈夫ですか?」

「(え、強………………)」


ルーは一瞬だけ、ティアを怖がった。そんな事を思ってる隙に、弾は鳥の方へ。


「鹿さんが失敗した〜。鳥さん可哀想〜〜。味方に殺されるなんて〜〜〜。ボクの事、恨まないでよね〜〜〜〜」


大蛇が大笑いした。ティアが すみません!と、叫んだのも束の間。


「笑いながら死ねるんだなぁ…大蛇くん!!」


鳥が弾をくちばしで大蛇に向けて跳ね返した。


「え?」


ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!


弾は大蛇の胴体を貫通した!


「バカな!ボクの攻撃で、ボクが死ぬなんて!最後の晩餐が、石だなんて!」


大蛇が今の長文を、頭が宙に舞ってる状態で、超早口で喋った。


ボトッ


「………ふぅ、今のヘビ、危なかったですね。あの……、すみません、鳥さん」


「良いんだよ。バレーボールは子供の頃に習ってたんだ」


「バレーボールでもあの高速弾は打てませんよ!!」


「それにしても、どうやら他にも動物が迷い込んでるらしいな。気を引き締めていこう!」

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