残涙。それは涙の跡。泣いた後の顔つきを指す言葉。
そして、終わった後も燻り続ける悲しみや未練。
このスナックにはそんな名前がつけられた。
店内でタバコが吸える店というのは今日び貴重だろう。それとも店の中に一人しかおらず、それなりに贔屓の客だからだろうか。
なんとなく、阿久悠先生の『居酒屋』を彷彿とさせる雰囲気だ。
ラベルの褪せたボトルで、シングルのオンザロックを注文すると、
やがて男は口を開く。
残涙。流しきれなかった涙の過去。
思い出しては滲んでくる景色。
この店には、今日も燻り続ける「涙」を語りに、誰かがやってくるのだろう。
飾らない大人の雰囲気。
ブルースが聞こえてきそうな、そんなスナックでの一幕。
ご一読を。