三英雄は神と成る〜世界救って暇になったので神を目指します〜

水神コウキ

人喰い海竜編

第1話 記憶のない少年

 僕は記憶を持っていない。

 どうして自分がこの場所にいるのか、どうやってここにきたのか。

 そもそも、僕はいったい誰なのか。

 自分の名前すらもわからない。


 でも、ここに住んでいる人たちは優しくて、本当に温かい。

 だから僕はここで暮らすことにしたんだ。


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  第一章 開幕

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 僕の名前は「ラック=クレアス」

 といっても、本当の名前じゃなくてここにきてから作った名前だ。

 ここにくる前の記憶がなくて、名前も忘れてしまったから、優しい村の人たちがつけてくれたんだ。

 本当にそれが嬉しくて、今ではこの村で暮らしている。


 大きい村とは言えないが、それなりに栄えていて旅人がよく立ち寄る。

 しかし、そんな平和な村にも困り事があった。

 この世界には、邪悪な魔物と呼ばれるものが存在するらしいんだけど、近頃村の近くでそれが出現しているらしい。

 そのせいで、村へ立ち寄る旅人は減り、村はいつの間にか閉鎖村になってしまった。


 どうにかして、魔物を追い払うことができれば、また旅人が来てくれるのに。


「あんた11歳なのに本当に偉いねえ」


 もしゃもしゃの髪に、小太り、この優しいおばさんは「シュー」

 一番最初に、海岸で倒れている僕を発見してくれた人だ。

 それからは家で、過ごさせてくれたりご飯を作ってくれたり色々してもらった。

 最近は、自分1人で色々できるようになったので、一人暮らしをしている。


「まあ、1人でやらないとダメなので……」


「それにしても、今日も記憶……戻らないのかい?」


「……はい」


「大変だねぇ。そうだ。昔のことを思い出せば、何かわかるかも知れないよ。あんたを見つけた海岸で少し話をしてみよう」


「わかりました」


 僕が拾われた海岸は、村の南、徒歩10分圏内にある。

 白い砂浜に、エメラルドグリーンの海はとても美しい。

 海には、たくさんの魚が泳いでいる。

 しかし、ここは遊泳禁止エリア。


 何でも昔、この海で“人喰海竜モサ“と呼ばれる魔物が出たらしい。

 それを恐れた村人たちが禁止区域にしたんだとか。

 でも、海竜は陸までは上がってこないから、遠くから眺めるだけならOKになっている。


「あんたがここにきて、もう7年になるのかしらね」


「そうですね」


「私はあんたが、あそこの砂浜に倒れているのを見つけたんだ。でも、この柵より先は入っちゃいけないから砂浜には本来行けない」


「……」


「でも、困っている人がいたんだ。私はすぐに入ったよ。その後、少し村長と揉めちまったが、村の人たちが了承してくれた」


「……」


「あんたは私の家で暮らして、たくさんお手伝いをしてくれた。本当にいい子だと思ったよ。それから1人暮らしを始めて……」


 おばさんと話していると、海でぶくぶくを泡が出ているのが見えた。


「そういえば、あんたを拾った時も、ああいう白い泡が出ていたっけ」


 その時、白い泡から何か巨大な、黒いものが出てくるのが見えた。

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