このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(537文字)
菩提樹の影、運河の風、そして「クレムフカ」の甘い記憶……。美しく穏やかな街の風景と、背後に忍び寄る「1939年」の不穏な影との対比が実に見事です! 甘いパイのクリームで笑い合った幼い日の記憶を抱えながら、残酷な現実(戦争)に直面するリリロアの心の揺れが、丁寧な筆致で伝わってきました。 回顧録の「言葉ひとつで何万人も死に、何百万人も生きる」という一文の重みを、これから彼女がどう背負っていくのか、息を呑んで見届けさせていただきます。