最終回 機械論的世界観
俺
「前回は暴走したけど、今回は落ち着いて語ります☺️」
綾乃
「ほんま頼むで…」
俺
「デカルトさんは人間をバラした結果、いよいよ次は世界そのものにメスを入れていくんだよね」
ショーペンハウアー
「そうだ。ここで世界は“生き物”であることをやめる」
綾乃
「生き物をやめるって、なんか物騒な言い方するねんな。
ほんまに生き物ってわけやないけど、世界って、山とか川とか命の流れとか、そういうもんちゃうん?」
ショーペンハウアー
「それは中世までの世界観だ。デカルト以後、世界は“意味を持つ存在”ではなく、“法則に従って動く物体の集合”として捉えられる」
俺
「要するに、世界が巨大な時計になるみたいな話
歯車が噛み合って、決まった法則でカチカチ動く
感情も意志も目的も、そこには含まれない」
綾乃
「え、世界って感情ないん?
雷とか怒ってる感じするやん」
ショーペンハウアー
「それは人間が意味を投影しているだけだ
雷は怒らない。ただ放電する」
俺
「ここが決定的な転換点で
自然現象を“気持ち”で説明するのをやめて
“数式で説明できるか”に切り替えた」
綾乃
「……それで科学が爆伸びしたわけか〜」
ショーペンハウアー
「そうだ。目的論を捨て、原因だけを見る
なぜ存在するかではなく、どう動くかを問う
この冷酷さが、近代科学の原動力になった」
俺
「神が怒ったから雷が落ちた、じゃなくて
雲の電位差がこうなって、結果こうなりました
説明は冷たいけど、再現性は爆上がりするわけ」
綾乃
「でもさ、それって世界が無味無臭にならへん?
なんか寂しいわ」
ショーペンハウアー
「その感覚は正しい。機械論的世界観は、世界から価値を奪う
意味は自然には存在せず、人間の側で作るものになる」
俺
「ここで人類は二択を迫られる
意味のない世界で生きるか
自分で意味を背負うか」
綾乃
「うわ重っ
世界が意味くれへんのに、こっちが作らなあかんの?」
ショーペンハウアー
「それが近代人の宿命だ
神も自然も、もう保証してくれない」
俺
「でもね、これって現代社会そのものでもある
会社も国家もアルゴリズムも
基本は巨大な機械として設計されてる」
綾乃
「成果出したら評価、出さんかったら終了
気持ちは考慮されません、みたいな?」
俺
「そうそう
“どう感じたか”より“どう動いたか”
機械論ってこういう感じなんだよね」
ショーペンハウアー
「人間もまた、その機械の部品になりうる
それが近代の暗部だ」
俺
「デカルトは世界を理解するために機械にした
でもその理解の仕方が、世界の扱い方まで決めてしまった」
綾乃
「それ怖いわ…
賢くなった代わりに、優しさどっか置いてきた感じせーへん? 」
ショーペンハウアー←ここ
「必要な考え方であると同時に、意味を意図的に切り捨てる不完全な考え方でもある
デカルトは正確だったが、十分ではなかった」
俺
「これまでの会話をまとめると
方法的懐疑で土台を壊し
コギトで主体を立て
心身二元論で人間を分け
機械論で世界を装置にした
これがデカルトを軸にした近代の設計図と言えるんだよね」
綾乃
「なんか長編ドラマ見終わった気分やわ」
「んー…科学っぽい考え方してるのがデカルトさんでええんよね?」
俺
「平たく言えばそうだね」
綾乃
「でも現実を見たら、科学的な考え方だとうまくいかないことってけっこう多いんやないこれ? 」
ショーペンハウアー
「科学的な考え方を使いこなせる人間自体が少ないがな。
だがそれも大事な考え方だ。
この冷たい世界観の中で、苦しみ、悩むことは、人間が引き受けるしかないものだからな」
俺
「だからこそ、意味や価値や物語は
、切り捨てずに、人が引き受ける必要がある」
ショーペンハウアー
「世界は機械でも
生は機械として扱えない」
綾乃
「ほな結局
冷たい世界で、生き方をどう作るかって話になるねんな
……めっちゃ厳しいやん」
ショーペンハウアー
「だが、それが生きるということだ」
─デカルト編 完。
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