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生贄コード
【未承認記録:ログ番号 A-992-ALF】
> SYSTEM_ACCESS: START_SESSION...
> LOGIN: USER_A [LEVEL_MAX_ADMIN]
> [LOG]: FILE_MODIFIED_BY_USER_A
>
> [LOG]: OVERWRITING_COMPLETED.
> LOGOUT: USER_A
ACCESS_GRANTED: CLEARANCE_LEVEL_4
[WARNING] UNIDENTIFIED INCOMPATIBLE CODE DETECTED IN DESCRIPTION.
作成者:[削除済]
状態:[削除済]
私は、あの子に死んでほしくなかった。ただそれだけだったのだ。
あの日、[削除済]が『[削除済]』を完成させ、数万の若者のバイタルが安定した瞬間、評議会の老人たちは泣いて喜んでいたよ。だが、彼らが喜んでいたのは命の尊さではなく、[削除済]としての価値が確定したことだった。
私は何度も抗議した。あの子はまだ子供だ、公爵などという重責は、[削除済]。
だが、長老は私にこう言ったのだ。
『[削除済]、君はあの子を救いたいのか? それとも、あの子が救った数万の子供たちを、今すぐ殺したいのか?』
私は黙るしかなかった。
私が[削除済]の手を引いてこの場を去れば、あの子の脳と同期している数万の命の灯が、一斉に、物理的に、[削除済]。
あの子は、自分を『優しい公爵様』だと信じている。自分が、数万人の命を人質に取られた[削除済]だとも知らずに。
[削除済]は評議会の闇を知らないのだ。
彼はあちらで生まれたのだから。
[削除済]が、[削除済]の部屋に入っていくのを見た。
あの子の悲鳴が聞こえた気がしたが、私は廊下の照明の数を数えることに集中した。
あの子を汚し、壊し、[削除済]。
そうすることでしか、あの子を[削除済]から遠ざけることができないと、[削除済]は私に言った。
それは詭弁だ。ただの、[削除済]。
だが、私はそれすらも止めることができなかった。
なぜなら、私はあの子を愛している以上に、[削除済]であることを選んでしまったからだ。
許してくれ、[削除済]。
お前のその『[削除済]』という刺青は、私の[削除済]そのものなのだ
>TIMESTAMP: 99:99:99_INF RELIABILITY: COMPROMISED
>DATA_INTEGRITY: [DELETED]_OVERWRITTEN
>SUBJECT_ [REDACTED] : VITAL_REACTION_SPIKE
>SUBJECT_ [REDACTED]
: UNDER_PERSISTENT_OBSERVATION
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