ママがサンタにキスをした!

裏窓秋

ママがサンタにキスをした!

第1話

これはある年の12月24日の、ある家のお話。


「ねえママ」


お母さんが暖炉の傍で、子どものために温かい毛糸の靴下を編んでいた時でした。ベッドに入ったはずの子どもの声に、お母さんは目を丸くして尋ねます。


「あらどうしたの? こんな夜遅くに。おやすみのキスはさっきしたじゃない」


子どもは手に持ったテディベアを振りながら、こんなことを言うのです。


「僕ね、今日はね、明日まで起きてるよ」


「それだとサンタさん、来てくれなくなっちゃうよ」


「そんなことないよ。僕去年見ちゃったんだ」


次の言葉に、お母さんの目はもっと丸くなりました。まるで、ツリーに飾りつけるオーナメントボールのように。


「ママがサンタさんに、キスするところ」


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