MHFの思い出

ジャパンプリン

MHFに恋をした

MHP2Gの爆発的ヒットに釣られて手を出した、モンハンシリーズ。

初プレイ時は「生肉を置く」などの一通りのお約束をこなし、ハンターカリンガで挑んだドスランポスに返り討ちに会うなど、あまり面白さが分かりませんでしたが、リオレイアを倒せるようになったころからグイグイ惹き込まれてゆきました。基本はソロでしたが、友人も誘って一緒に遊ぶと面白さに拍車がかかり、毎日がソロ⇔協力の往復と、気が付けば生活の一部になっていました。そのうちに友人は飽きて止めましたが自分の熱は収まらず、当時盛んだったSNSの地域コミュニティにも登録してオフ会に参加するなど、次の「友人」を探しに活動を広げました。

しかし、そんな私にも転機が訪れます。


二人目のキャラで「渇望のピアス」も取得するなど、一般プレイヤーとしては大分やることも減ってきて、後は本当に趣味の領域といったころに、とある廃プレイヤーと出会ったのがきっかけです。

その方は、全モンス討伐数1000超え。

記憶はあいまいですが、私の場合ですと多くても7~80くらい。

思ったのです。

この方向に行くのはよそう、と。

それと並行して、MHFの存在は認識しており、友人から激安サーバーなるものを安価で購入した私は、これ幸いとMHFの世界に飛び込んだのでした。



まず一日目。

グラフィックが重すぎて、ゲームにならない。

ドスランポスに再び蹂躙され、ゲームを閉じました。

別の友人に相談し、「グラフィックボード」なるものが必要と理解。

ようやくプレイ環境が整いました。


HD画質で描かれるMHFの世界は、それまでのPSPのものよりも鮮やかで、瞬く間にその世界に引き込まれてゆきました。

序盤は特に、MHP2Gで狩りなれたモンスばかりで、サクサク進んでいきました。

ただ一点、やたらモンスターの体力が多いのだけは面倒を感じましたね。

下位(確かHR~30でしたっけ)のうちはずっとソロで、綺麗だけど敵がタフなモンハン、あと素材が渋い。

それくらいの印象で、一日2,3クエストくらいしかやっていませんでした。

しかし、上位に上がって最初の週末でしょうか。

ドンドルマの集会所に、一大決心をして飛び込みます。

その部屋の募集文は、「上位の人、一緒にHR上げ」とかそんな感じだったと思います。



行ってみると、お決まりの挨拶から始まり、早速4人でクエストに。

速い。とにかく速い。

それまでソロで30分かけて狩っていた体力お化けが3分程度で沈んでゆく。

HRもグングン上がるし、素材もバンバン集まる。

なるほど。このゲームはこうやって遊ぶのか。

その日のMHFの楽しさはMHP2Gを一人、または友人と二人でプレイしていた時を凌ぐものでした。


その理由となったのは「狩り」だけではありませんでした。

私が飛び込んだ部屋の主は女性キャラのプレイヤーで、使用チャットも


「。・:*:・(*´∇`*人)。・:*:・ヨロシクネ♪」


など、当時(今も?)流行ったキラキラ系の絵文字で、『なるほど。こういう遊び方もあるのか』と衝撃を受けました。

同じく女性キャラを選択していた私は、即座にキラキラ系辞書をPCに登録しました。

また、ちょっと休憩、と称して始まるチャット。これも楽しかったですね。

周りの人も皆、それぞれの形で強いモンハン愛を持っており、それを土台に様々な話が、しかもいつまででもできる。

そんな魅力に当てられた、この一日がその後の私のMHFライフを決定付けた。

そんな一日だったと思います。


その日の時間をほぼ丸々共に過ごした彼らとは、その後共闘することはほとんど無かったと記憶してます。

彼らの攻略速度が速すぎて、ついていけなかったのです。

そして、気が付けば彼らの誰もログインしなくなっていました。



それと前後するように、新たなフレンドとの出会いがありました。

相手がどう思っていたかまでは知りませんが、私にとっては『盟友』と呼べる、そんな存在との出会いでした。

このプレイヤーとの初対面は、朧気ながらも今でも思い出せます。

HR50台に乗った頃でしょうか、対エスピナスの野良募集チャットが広場に流れました。

エスピナス。MHP2Gには実装されておらず、ソロで挑んでは、討伐失敗を繰り返していた相手です。

私は即座に飛びました。「討伐経験ゼロ」の話をしたかどうか、そこはもう覚えていませんが、参加することになりました。

その後しばらくして4人集まり、初討伐目指してドキドキのクエスト開始です。

皆で初期位置に移動して、さあ戦闘開始。

しかし、視界には2人しか居ない様な……募集主は?


崖の上で笛吹いてました。

後で知ったのですが、あれは当時のネット上で「地雷行為」と呼ばれていたような気がします。

クエスト後、二人は無言で去って行きました。

ただ、私には、その自由奔放さがとても愉快なものに思えて、心が和んだことを覚えています。

幾度となくメンバーが入れ替わりましたが、私は最後まで残りました。

おそらく、二時間くらい続いたでしょうか。

連戦終了後、一期一会の別れの挨拶で、素直に『また一緒に遊びたい』と思った私はフレ登録(申請→許可制だったかな?よく覚えていません)のお願いをします。

その時の返事は今でもはっきり思い出せます。


「ん~。どうしよっかな」


これだけ連戦に付き合ったのだから、と即答YESを想定していた私は、頭を打たれた思いでした。

暫くの沈黙ののち


「いいよ☆」


といった感じでOKされました。


私の基本スタンスは野良だったのですが、時に呼び出し、時に呼び出されと、ちょうど良い距離感の相手だったと記憶しています。

本人曰く「18歳女の子」とのことでしたので、「彼女」としておきましょうか。


週に何度か「彼女」と遊ぶ、そんなMHFライフは1年半くらい続いたでしょうか。


その生活に終わりを告げたのは、私の事情によるものでした。

大体2年くらいでしょうか、私はMHFから離れざるを得なくなりました。

ただ、突然消えるわけにはいかなかったので、「彼女」には事情を話し、一旦お別れとなりました。

機会があったらまた一緒に、との言葉とともに。



2年後、私はMHFに帰って来ました。

私は「彼女」の立ち上げた猟団に入っていました。

猟団情報をチェックします。

団長は「彼女」のまま。

最終ログインは30日前。

(※確か、60日以上ログイン無しだと団長から外れる仕様だったと思います。数字は目安と思ってください)

これは……間に合った、か?


一縷の望みをかけて、私はその日から再び活動再開します。

二年の時を経てすっかり周囲の流れに取り残された私は、ソロプレイヤーになりました。

幸い、の前にラスタ交換をしていたので、「彼女」の名前は常に私の視界にありました。

私の復帰からおよそ一年後、ついにその時が訪れます。


ピュゥィ♪


久しぶりに耳にした個人チャット受信音。

そこには「彼女」のHN。

本当に、自分の目を疑いました。

すかさず私は返信します。

私が切望した再会。

何と言って返したか、記憶にありません。

ただ、私の高揚とは裏腹に「彼女」の言葉は淡々としたものだったと記憶しています。

まるで一日ぶりに話すような、そんな話ぶりでした。


3年の時を隔てて実現した「彼女」との会話チャットに心は踊り、時間を忘れて会話を続けました。

2時間くらいは話し続けた気がします。

聞けば、「彼女」は一年前からストⅣにハマっているとのこと。

でも、私も帰ってきたし、また来るね、と。



それが「彼女」との最後の会話になりました。

半年後、MHFGがスタートしました。

この頃の私は、ただ惰性で続けつつ、を待ち続ける、ただそれだけの存在と化していました。

Gのスタートから一か月ほどは待ったでしょうか。

一人で新コンテンツを始める動機はもはや見いだせず、一日、二日とログインしない日々が増えてゆきました。

継続コースも解約しました。

そして遂に私はMHFに別れを告げたのでした。



私は彼女に恋をしていたのでしょうか、それとも「彼女」と遊ぶMHFに恋していたのでしょうか。

おそらくは、後者だと考えます。

だからストⅣまで追いかけるような真似はしなかったのでしょう。


あれ以来、ネットゲームには一度も手を出していません。

出そうと思ったことすらありません。

そして、その理由についてすら考えもしませんでした。


本エッセイを書いた今、

その理由が分かった。

そんな気がします。

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