うちの学級委員長はスルメが大好きです
@kafu714
第1話
うちには少し変わっている学級委員長がいる
変わったと言っても性格や外見ではない、それは……スルメイカが大好きであるということだ
これのどこが変なの?と思うだろ、それは姿が見えていないから思えることだ
委員長は成績優秀でスポーツ万能、おまけに容姿端麗である
ロングでツヤっとしている髪の毛から時折見える目は切れ長で夜のように黒いのに何処か広く透明な雰囲気を漂わせ、一つの色……黒やグレーなどでは表せない
落ち着いたハスキーな声は、見た目と相反しているのに違和感がない
そんな委員長がスルメが好きなことを知ったのは一昨日先生の雑務を押し付けられ、帰るのが遅くなった時である。
「やばっ、今日発売の人気作品の新刊あるかな」
そう頭で考えながらスマホを覗く、液晶に浮かんでいる文字には18:46と映し出している、この近くの本屋はと思いスマホで調べると19時には閉まるらしい…何故閉まるのがこんなに早いのかは謎だがとりあえず急ぐか、と小走りを始める
滑り込みで店に入りコミックエリアへ行くと目的の漫画がラスト一個で残っていた
(あっぶねー)と思いながら本を手に取り、レジへ向かう
向かう途中に蛍◯光が流れていることに気が付きやっぱ閉まるの早いな…と感じる
無事に買え、ルンルンとした気持ちで書店を跡にする。
帰路につき、家の近くのコンビニまで差し掛かる。
ぼーっとコンビニの光を眺めていると入口の扉が開き、一人の女性がゆっくりと出てくる、腕には通学カバンと、レジ袋を下げ、袋の中をまさぐると一つの小包を取り出した
袋の上部を横に引き、ゴソゴソと指を2本ほど差し込む、一本取り出しそこで彼女が持っているのはおつまみタイプのスルメイカであることに気づく
珍しいなぁと思いまじまじと見ていると何処かで見たことのある女性ということに気がつく
うちの委員長だ、こんな時間にコンビニでスルメ?……サラリーマン?とも思ったがそこは置いておこう
ぽかんと口を無意識に開けて見ているとすでにスルメイカを口に運んでいた
もぐもぐと口全体を動かすと……
後光がさしたかのように彼女の表情が変わっていく、
学校……いやクラスでは見せないような表情を浮かべている
アニメのような表現になってしまうが目がキラキラとし、口角が上がりきっている
その予想だにしない表情に思わず、本を落とす。
場所がグローチングの上だったためか、衝撃音があたりに響く、ハッとなり本を拾い委員長の方を見るとこちらを見つめ、固まっている、
直後、顔を赤く光らせ、逃げるようにコンビニを後にした。
あの幸せそうな顔は今も頭の片隅にこびりついている。
食事の時、入浴の時、就寝の時、頭の片隅に彼女の表情が浮かんでいる
それほど衝撃が強かった。
______________________________________そんな漫画によくありそうな展開を妄想するたび脳内でツッコミを入れる
そうこうしているうちに登校をすませ、準備をすませ、今に至るのだが
碇ゲン◯ウのような腕をあわせてヌボーとしていると「すいません」とハスキーな声が耳に入ってくる。
昨日〇〇のコンビニで私を見ましたよね?そのことなんですが……みんなには少し内緒にしてください、委員長としての威厳がなくなってしまいますので……」
指を一本口まで持ってきて口をイの字にするとしーっと言うハンドサインをする
恥ずかしくなったのか、耳まで真っ赤にし、最後へ向かうに連れもごもごと言葉がこもっていく。
それでは……!」といい走り去っていく
椅子に座り、背もたれに全体重がかかるほどに力が抜け俺は思った
「可愛すぎない……!?」
うちの学級委員長はスルメが大好きです @kafu714
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