セオリーオブ*ハピネス

すえたに すえこ

第1話 あたしの自慢のお兄ちゃん

あたしエナ!中学2年生!

実はあたしね、学校には行ってないんだぁ。

...でもね、毎日つまらないわけじゃないよ。


だってお兄ちゃんがいるんだから!

お兄ちゃんはすごいんだよ!

学校にちゃんと行ってて、

いろんなことを知ってて、

あたしが知らない外の話を、い〜っぱい教えてくれる。


今日あったこととか、

ちょっと面白かったこととか。

それを聞くのが、あたしは大好きなんだ。


そろそろお兄ちゃんが帰ってくるはず!

今日はなんのお話だろうなぁ〜


“ガチャ”

玄関のドアが開く音がした。


...間違いない、お兄ちゃんだ!


あたしは階段を駆け下りてお兄ちゃんにぎゅっと抱きつく。


おかえりっ!!!


お兄ちゃんの制服は、外の空気の匂いがした。

それだけで、なんだか安心する。

今日もお兄ちゃんはかっこいい!

でも、お兄ちゃんは軽く頭を撫でるだけで、そのまま自分の部屋へと向かってしまう。


もぉ、お兄ちゃんったらぁ...相変わらずそっけないなぁ...

ふてくされながらも、お兄ちゃんの後ろをついて行き、お兄ちゃんの部屋へと入る。


あたしはお兄ちゃんのベッドへ腰掛ける。

こうやっていつもお話を聞かせてもらうんだ!

「今日はなになに!!」

あたしは胸を弾ませて待つ。

お兄ちゃんは一息ついてから話し始める。


「今日は体育でサッカーやったんだぜ。ミトマがかっこいいプレーしてさ、ジャンプしてからのダイレクトシュート。先生もびっくりしてさ…」


お兄ちゃんのお話はやっぱ面白い!!

学校って楽しいんだろなぁ〜

でもあたしは、学校に行けなくたって大丈夫だと思うんだ...


だって、外の世界を知らなくてもお兄ちゃんが全部教えてくれる...それだけであたしは満足なんだ!


だから、あたしは学校へ行けなくても大丈夫。









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