第5話 ルナの想い
「お兄ちゃんってばいつまで怒ってるの~っ?
いい加減許してよ」
「うるさい。
お前のせいで
クラス全員に僕が妹と怪しい仲だって
思われてるんだぞ!
もちろん安西さんにもだ!!
この間なんてなんと言われたと思う?
『そ、その……私は応援してるから……!!』って!!」
しゃがみこんだ僕はさめざめと泣く。
「もうおしまいだ。
僕の恋は終焉を迎えたんだ……」
「終わったなら、これから
新しい恋を始められるじゃん。
もちろんこのあたしとね」
「あのさ……僕を好きだと
言ってくれるのは嬉しいけど」
僕は立ち上がってルナを真っすぐに見つめた。
ルナはポカンと僕を見つめる。
「僕にとってルナは可愛い妹で
それ以上でもそれ以下でもないんだ。
だから、もうあんな行為はやめてくれないか?」
そう、僕にとってルナは家族だ。
恋愛対象としてみることなんて
きっとこの先一生ない。
ルナには申し訳ないけど
僕には好きな人がいる。
好きな人以外とキスなんてしたくないし、
ルナに悪評が立ってしまったら
どうすればいいのか。
ルナは虚を突かれたような表情で固まる。
その瞳に涙が溜まっていくのが分かって
胸がズキンと痛んだ。
「どうして?
どうしてそんな冷たい言い方するの?」
「ごめん、ルナ」
「あたし、小さい頃からずっと
お兄ちゃんのこと好きだったんだよ?
ヴァンパイアだってことを
告白したのだってお兄ちゃんになら
話してもいいって思えたから……」
ルナの頬に一筋の涙が伝い、
僕はその涙を拭おうと手を伸ばす。
けれど、バチンと振り払われてしまった。
「あたしを振るなら、
優しくなんてしないでよ!!!!」
その表情が、言葉が、僕の心を突き刺した。
僕を鋭く睨みつける
ルナを見たことがなかった。
ごめん、と口を開く前にルナは
反対方向に走り出した。
僕はどうしたら良かったのだろうか。
唇を噛み締めると、血の味がした。
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