第1話の密度が凄まじい。
プロローグで「左腕を奪われる」衝撃から始まり、2326年のメガコーポ支配下の中流家庭の日常→CCIの測定値「無限大(∞)」の謎→帰り道での両親の惨殺と左腕の切断——この構成が一気に引き込む。
特に両親が殺される場面の描写が容赦ない。「炎とは違う赤が地面に広がる」「二人分の体が四つに別れる」という直截な文章が、主人公ジークの頭が「白さえもない。無。」になる状態をリアルに伝える。悲しむ余裕すら与えない暴力の速度が、この世界の残酷さそのものだ。
世界観の見せ方も巧みだ。培養コーヒー、蛍光色のジャム、オンボロのスマートレンズ——説明なしに中流家庭の貧しさを伝える小道具が機能している。「メガコーポには入りたくない、俺が新しい仕組みを作ってみたい」という主人公の宣言が、直後の惨劇でどれほど歪んでいくのか。続きを読まずにはいられない。