カムフラージュ/いとこ同士
加藤小織
カムフラージュ1
ノックもせず突然、部屋に入ってこられたことに驚き。言われたことが上手く聞きとれず。
「何、
姉の
「公佳。
時間は夜の10時過ぎ。寝ていたわけでもなければ、着替えていたわけでもないのでノックもせず突然、部屋に入ってこられたことを怒りはしない。
私が言われたことを聞き返すと姉は照れ臭そうに、
「私。父さんの子供を妊娠した。今日、大学を休んで病院にいったら三ヶ月だって。」と言ってきた。
今度は、しっかり聞いていたつもりだったが聞き間違えかと思い。
「三ヶ月って。」と訊き返すと姉は躊躇うことなく。
「だから父さんの子供を妊娠して、三ヶ月だって。」と言い。その一言に驚いた私は、
「はぁぁ!-」と叫んだ。
「父さんの子供を妊娠した。」なんて言われれば、私でなくとも驚き叫ぶと思う。
確かに父の
「こんな時間に何、
その言い方が癪に障ったのか。
「
「8月の上旬。父さんと私以外、外泊していたことがあったじゃない。」と、父の子供を妊娠した経緯らしきことを話しはじめた。それによると・・
8月上旬の夜。同居している父の双子の弟で叔父の
住み込みで働いてくれている三人の家政婦さんたちも、それぞれの事情で休暇をとり留守だったということで、姉と父は父の部屋で飲むことにしたそうだ。
「飲むことにしたって何を。」
「洋酒類。」
「19歳って未成年じゃなかったけ。」
「細かいことは言わないの。自分だって、理久君とO阪に飲みにいっていたでしょう。」
それを言われら偉そうなこと何も言えないが。それよりも、父も姉も軽く飲むつもりだったらしいのだが、ついつい度が過ぎ。我を忘れるぐらい泥酔するほど飲んだらしく朝。目が覚めたら、二人揃って全裸でベットに寝そべっていたそうだ。
「それだけで何故。父さんの子供ってことになるの?」
「そのときは私も父さんも性交したなんて思わなかったわよ。父さんも、そんなこと言ってないかったし。」
だけど姉曰く。
「彼氏いない歴十九年。妊娠が判明した今日まで処女とばっかり思っていたから、そのときに父さんと性交したとしか考えられないのよ。」ということだ。
病院にいったのは、月のものが一ヶ月以上こず。最近やたら吐き気を催すようになったので、何処か悪いのではないかと思い、病院にいったら妊娠が判明したらしい。
同じ大学といっても学部は違うし。とっている授業も違うこともあり。今朝は一緒に大学へ登校しておらず。姉が大学を休んだのも病院にいったのも知らなかった。それはともかく。
「父さんには言ったの。」
「ううん。まだ、何て話していいかわからなくて。」
そりゃそうだろう。話しても、娘と性交したなんて認めないだろうし。妊娠したなんて言えば即座に、
「中絶しろ!」と言われるだけだもの。すぐに中絶させられるとは思うけど。
父にどう話そうか、二人で迷いに迷った結果。父に話す前に、叔父の草介に話し。どう父に話すか相談することにした・・
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