正直、最初にこの表題を見たとき「あ、帰ろうかな…」と思った。まるで川の柳のたもとまで勇気をふりしぼってやってきたウブな文学青年のように。
でも思いきって足を踏み入れてみてよかった。こんなに面白い小説を読みすごすとこだった。あぶなかった。まあとにかく概要を読んでくれ。そしてワシに騙されたと思って、第一話だけでも終いまで読んでくれ。
《以下、作品概要から抜粋》
明治、横濱。
没落士族の娘・天は、極道の愛人として孕んだことで命を狙われる。
逃げ込んだ先は、鬼が営む幽世の遊郭「華屋」。
「母となるお主に、妖たちへ人との交わりを教えてほしい」
種の存続のため、人との子を作りたい妖たち。
だが性交で繁殖しない彼らには、手ほどきが必要で――
元退魔師の遊女が、不器用な妖たちに性技を教える、
ちょっと艶めかしくて笑える、異類性技教育譚。
《抜粋は以上》
ここからは読みもするし書きもする側の人間としての推薦文なんで読み飛ばしてサッサと第一話を読みにいって欲しいんですけれど、まだ第一話を読むのを躊躇っているような方のために、ちょっとした蛇足をしていきます。
いい書き手ってのはね、第一話で「この作品がどんな物語でどんなことが起きてどんなふうに終わるか」そこまで書くものであってね。この作者、それができています。
つまりはこの『明治あやかし遊郭』はね、最初ができてる。つまり最後まで安心して身を任せていい作品ですよ、読んであはたが人生の貴重な時間をつかうに価する、つまり〝おもしろい〟作品ですよってワシは言ってるわけです。
なので、「明治・あやかし・遊郭。このあたりのキーワードに引っかかる人」は、サッサと第一話、よみにいってきたまへ。すでに一話目で面白いんだから、読まないで引き返す手は無いぞ諸君。
それでも読んで文句のあるやつはワシが引き受ける。ドーンとこの橋を橋を渡って行ってこい。
満足して帰って来れるはず。