ヒソカな反乱
すえたに すえこ
第1話 疎外感
朝の教室は相変わらず賑やかだ。
カーテンの隙間からはほんのりと暖かい光がさす。
私は軽く伸びをして、窓の外をじっと見つめる。
青く澄んだ空がどこまでも広がっている。
「それでさぁ〜うちのパパがねぇ〜」
突然大きな声が教室内に響き渡る。
「あははっ何これえ〜」
どうやら父親の話で盛り上がっているようだ。
父親、、、嫌なものを思い出してしまった。
そう、実は私には父親がいない。
よく「寂しくないの?」と聞かれたが、元々父親は単身赴任だったため、いない生活がたり前であった。
ちょうど一年前、父親との金銭トラブルがきっかけで離婚が決まった。
母親は私たちに気を遣わせまいと普段通りに振
る舞っていたが、私はそれが見苦しかった。
何もできないことが悔しかった。
大好きだった家、仲の良い近所の友達、特別感のある父親との楽しい思い出、苗字、、、
全て手放すのは辛かった。
でも気を遣わせたくなくて、誰にも言うことができなかった。
それでも私は今まで孤独と不安に見舞われながらも生きてきた。
家に帰ると母親の明るい声が真っ先に耳に入ってきた。
「すごいじゃない!やればできるじゃん!」
まためられている、、、
中学生の弟は成績の伸びが凄まじかった。
テストの度に成績を更新していくものだから母親も嬉しかったのだろう、よく私の前でも自慢をしてくる。
その様子を眺めていると母は私に気付きこう言った。
「マイも見習いなさい、本当にちゃんと勉強してるの?」
私が口を挟む前に続けてこう言った。
「明日も塾行くよね、お弁当作っとくからね。」
「このあとは何勉強するの?」
何も言い返せなくて、足早にその場を去った。
私の部屋は秘密基地だ。好きなものがぎゅーっと詰まっている。
美味しいお菓子、かわいいぬいぐるみ、お気に入りの本、、、少し甘い香りもする。
ここにいるときは自由を感じられる。それがたった一つの救いであった。
ベッドに仰向けになりながら考える。
私に自由はないのだろうか、、、
そよ風がそっと頬を撫でる。
窓から月光が差し込む。
自由がない...でも不可能じゃない...
ん?
これだ!!!
にひひっと思わず笑みが溢れる。
ないならコッソリ楽しめば良いんだ!
なんで今まで思いつかなかったんだろう!
そうと決まれば明日から決行だっ!!!
これは彼女が自由を探す物語だ。
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