虐待の末に命を落とした紗凪が、異世界でホムンクルスの少女アリシアとして生き直す物語は、重い過去と温かな日常の対比が胸に迫ります。
「道具」として創られたはずの彼女が、若き錬金術師カイルの不器用な優しさや、姉のように寄り添うエレナの気遣いに触れ、少しずつ“家族として愛されること”を知っていく過程が丁寧に描かれています。
転生前の記憶があるからこそ、与えられる温もりがより鮮やかに響き、アリシアの心がゆっくりとほどけていく様子が読者にも優しく伝わってくる。
愛を知らずに終わった少女が、人として再び歩き出す――
そんな再生の物語です。
壮絶な虐待の果てに死んでしまい、異世界のホムンクルスとして転生した主人公のアリシアちゃん。彼女は、異世界にて虐待を逃れてもなおその傷跡に苦しんでいる。だからこそ、彼女の『親』たるカイルとエレナの優しさが光るのだ。ある時は一緒にご飯を食べたり、またある時はお買い物に出かけたり。決して何か特別な事がある訳じゃない日常そのものだけど、感じられる尊さは凄まじい。我々が当たり前だと思っていた日常が戸惑いから彼女にとっての幸せへと変貌していく様はとても真に迫っていると言えよう。幸せを知らない彼女が、幸せになれるか。ホムンクルスは、人らしく生きられるのか。その結末から目が離せない一作。