「黒龍事件」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい
sterben
第1話 黒龍事件 その1
広大な土地を所有する枷取家
そこの蔵の一つに、小さな子供がやってきた
一部が赤い、長い黒髪で赤と黒のオッドアイの瞳の女の子
土地の主人の娘、枷取 菜緒だ。
「んっ、しょ」
ギギギィっと金具が音を鳴らす…数百キロはある扉を菜緒は一人で開け、中に入る
扉を開けた先、蔵の中には下へと続く階段があった。
そして、菜緒が蔵に足を踏み入れた瞬間から、階段の壁に埋まっている無数のランプが一人でにつき、階段を降りる者の足元を照らす。
「明りゅい…」
ちなみに、菜緒や歴代当主は真っ暗闇でも関係なく見えているから、ランプの灯りは必要ないが同行者がいても大丈夫なように設置されている。
菜緒は小さい足で、てちてち降りていく
そして…階段を降り切った先、簡単な結界で隔てられた広い部屋についた。
「にゃー、物いっぱい」
部屋を埋め尽くす、天井まで届く棚と棚に置かれた大量の箱、物。
菜緒はとりあえず、近くの棚から箱を引っ張り出し、開けてみる
「きつにぇのお面?」
白い狐面に赤い線が引かれた仮面…菜緒の祖母が使っていた仮面だが、菜緒は知る由もない。
見終わった後、仮面を箱に入れ直し…元の場所にもどす。
次は隣の箱を見ようと手をかけた時–––
「おんや、一人でここに来るとは珍しい子もおるんじゃのう?」
部屋の奥の方から…真っ赤な長髪に糸目の、現代風にアレンジされた狩衣姿の女の子が現れた
「にゃ、お化け?」
部屋の奥から現れたソレは、呼吸をしておらず、心臓も動いていなかった…だから、菜緒はお化けか何かだと思ったわけだ。
「お化けではないぞ?ワシのことは"アレ"から聞いとらんのかぁ?そうか、そうか…」
ソレは腕を組み、うんうんと頷く
「知らぬなら、名乗るしかあるまいなぁ!」
バサっと髪を振り、決めポーズをとる
「ワシは枷取家二代目当主、枷取 桜…
の神器兼、鏡写し…桜二號じゃ!!」
「おー」
菜緒は、とりあえず拍手してみた
「 ありがとうの…かっこよく名乗っても基本無視されるからの…」
なかなか悲しいことをカミングアウトした
「ま、それは置いといて。ワシは鏡写しの通り、見た目は枷取 桜の左右反転姿であり、本体は鏡の神器じゃな…ちなみに主の死ぬ直前までの記憶も写しとっておるぞ?」
千年近く前に神界から零れ落ち、巡りめぐって桜の物となった神鏡…それが女の子、桜二號の正体だ。
術の反射は当然として、鏡の中に物を収納したり、遠くの鏡面と接続しての空間移動等々、便利使いされていた。
現在は、蔵の中でのまとめ役をしている。
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