見えぬ舞い

高麗楼*鶏林書笈

第1話

 新羅・憲康王の御代、気候が順調で都には草葺きの家も無く、人々は安寧に暮らしていた。

 そんなある日、王が鮑石亭に出掛けたところ、南山の神が現われて舞ったが、王以外にはその姿が見えなかった。そのため、王は神の舞を真似て人々に見せたのだった。

 その後、金剛嶺に行った時には北岳の神が現われて舞ったが、王以外にはその踊りが見えなかった。また、王宮の同礼殿で宴会が行われた際には土地神が現われて踊ったが王以外の人々には見えなかった。

 この話を伝え聞いた人々は、これを瑞祥として喜んだが、賢者は不吉なものを感じ、国が滅びる前兆ではないかと憂うるのだった。

 新羅は、その後、少しづつ衰退し、遂には滅亡してしまうのだった。

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見えぬ舞い 高麗楼*鶏林書笈 @keirin_syokyu

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