第18話 Sランク未到の高難度任務挑戦

朝の光が街を照らす中、ローグはギルドの掲示板を見つめていた。今日の任務はCランクを超える高難度依頼――Sランクには届かないが、Fランク時代の自分からすれば夢のような挑戦だ。


「……俺がやれるのか……」

心臓が高鳴るが、胸の奥に確かな自信もある。孤高の修行、極限連戦、覚醒力と身体能力の融合――すべてが今、自分の力として手元にある。


仲間と共に森へ向かうと、依頼現場には大型モンスターと中型の従属モンスターが複数潜んでいた。地形も複雑で、単純な戦闘では勝ち目がない。ローグは仲間と位置取りを確認し、戦術の再確認を行う。


「ローグ、今回は中央突破、敵の注意を引きつけろ」

リオの指示にうなずき、ローグは深呼吸して意識を集中する。身体能力と覚醒力、呼吸、心拍――すべてを同期させ、動きを最適化する。


森の奥から複数の敵が襲いかかる。ローグは踏み込みと回避で攻撃をかわし、必要な瞬間だけ覚醒力を引き出して速度と反射を増幅する。中型モンスターが同時に二体襲いかかる瞬間も、身体と覚醒力が完全に融合し、瞬時に攻撃を回避しつつ隙を作る。


「……まだ余裕がある……!」

心の中で冷静に確認し、攻撃順序と仲間の位置を調整する。リオの指示に従い、ミラの盾で防御、ケインの矢で援護――ローグの動きと仲間の連携が一体となる。


大型モンスターが全力で突進してきた瞬間、ローグは意図的に覚醒力を全開近くまで引き出す。身体が光のように反応し、踏み込み、回避、斬撃が一体となり、攻撃をかわしつつ決定打を与える。仲間の援護も加わり、ついにモンスターは倒れた。


戦闘後、ローグは膝をつき、全身の筋肉の疲労と心拍の高まりを感じる。しかし、胸には達成感と自信が広がる。Sランクではない自分が、極限修行で得た力を駆使して高難度任務を成功させた――これが成長の証だ。


「……俺は、ここまで来れたんだ」

心の中で静かに呟き、拳を握るローグ。Fランクの弱小冒険者だった自分が、極限修行と仲間との連携、身体能力と覚醒力の融合で、Sランク未満でも高難度任務をこなせる存在になった。


夕陽が森を赤く染める頃、ローグは仲間と共にギルドへ帰路につく。身体の疲労は大きいが、心には確かな手応えと、さらに上を目指す決意が宿っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る