第13話 医師との会話の記憶2

「ここ最近は、どのように過ごしていますか? ゆっくりと過ごせていますか?」

「ずっと家にいます。まだあまり眠れませんが、スマホを触れるようになったので、眠れないときはスマホを使っています」

「お家で過ごせているんですね。スマホを触れるようになったのも、少し余裕が戻ってきた証拠だと思いますよ。ただ、眠れない時間が続くのは、やっぱりつらいですよね」

「はい。あいつが、夢に出てくるんです」

「それは、とても苦しいですね。今の状態をよくするために、今日はほんの少しだけお薬を調整しましょう。深く眠れるお手伝いをしてくれるお薬を、試してみましょうね。眠りが整ってくると、気持ちも少しずつ楽になっていきますよ」

「先生、僕はあいつが憎いんです」

「そう感じるほど、悔しい体験だったのですね。でも、今は誰かを責めることよりも、黒取さんご自身を守ることを一番に考えていきましょう」

「でも、事件はぜんぶ、あいつが悪いんです」

「そう思ってしまうほど、納得できない気持ちが強いのですね。黒取さん、少しだけ、一緒に深呼吸してみましょうか」

「姫野三二一を、僕は絶対に許せません」

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