恋を観測・計算で理解しようとする理屈屋主人公が、思い通りにいかない“感情”に少しずつ追い詰められていく構成がとても巧いです。知的でロジカルなのに、読み進めるほど不確定要素が増えていくのが面白い。これ、男主人公だと生々しくなりがちな思考回路を、百合だからこそ柔らかく読ませてくれます。派手な展開はないのに、心理の動きが気になってページをめくってしまうタイプ。理屈っぽい恋愛描写が好きな人、ぜひ一度読んでみてほしい作品です。