異世界転生したくない兼業主婦が現世で語るエッセイ

岩名理子

第1話 現世で活躍できるスキルをくれ!

年末年始が近くなってきた師走、下旬。


慌ただしく家事をする中、脳裏によぎる。


ああ、いいなあ……『チートスキル』欲しいな……、である。


いや異世界転生なんぞはしたくない。

というより、これほど苦しめられても尚、私は現世に留まりたい。

社畜さながらいつでも仕事はやめたいが、それは主人と子供がいるからであって。


ともあれ、くださいよ。

マジでくださいよ。


『いつでも燃えるゴミが燃やせるスキル』くださいよ!

そもそも捨てにいくの面倒なんですよ!

分別も!!


そうして私はありとあらゆるものを、ゴミ箱にツッコむわけですよ。


かたやポストのチラシ。

子ども部屋にある、『それなんで詰め放題とかでできないの?』というほど限界まで圧縮されたプリントの山。

届いているのに、開けられてないままの主人の封筒!!


いやいや、それ年末調整でいるやつ!

確定申告するなら絶対必要なやつ!!

ってかせめて開封して!


ゴミ袋がバンバンと丸くなっていく。

その度に思うのだ……


『お願いだから、ゴミを燃やせるチートスキルを私にください』

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