第18話 平民おっさん、舌戦でも無双する
会議室はいつも以上に重い空気に包まれていた。
ヴァルドは会議が始まるや否やレイドを罵倒し始めた。
「学長、そして教師の諸君! 本日は学院の未来に関わる重大な問題を提起させていただきたい! それはこの学院に潜む『毒』、すなわち、平民教師レイド・アークスについてだ!」
ヴァルドの声が会議室に響き渡る。
彼の言葉には憎悪と敵意が込められている。
「この男は身分を偽り、この神聖なる学院に入り込んだ危険人物である! 彼の授業はデタラメを極め、生徒たちに間違った魔法を教えている! 彼は学院の伝統を冒涜し、貴族の権威を貶めようとしているのだ!」
ヴァルドはレイドの授業内容がいかに『偽り』であるかを力説した。
徹底的にレイドを悪者に仕立て上げようとしているのだ。
彼の言葉によれば、まるでレイドは王国に仇なす悪人のようだった。
「先日行われた入学試験でも、あの平民教師は不正を行ったに違いない! でなければ、あの落ちこぼれどもが合格するなどありえない!」
「貴様の存在は学院にとって有害以外の何物でもない! 即刻、この学院から立ち去るがいい!」
「貴様のような下賤な者が貴族の生徒を教えられるわけがない! 貴様の教えは、すべてがでまかせだ!」
ヴァルドに同調する教師たちが次々とレイドを罵倒する。
そこに証拠も論理性もない。
しかし、彼らの言葉は着実とレイドを追い詰めるようなものばかりだった。
だが、レイドは動じなかった。
彼らの言葉はただの感情的な非難であり、具体的な根拠に乏しいことから、彼らがレイドに投げつける言葉のすべてが彼ら自身の無知と貴族としての傲慢さの現れだと理解していたからだ。
「ヴァルド先生、お言葉ですが、俺が教えている魔法は決して『偽り』ではありません。それは真に実戦で役立つ、生きるための魔法です」
レイドは冷静に反論した。
「あなた方が何十年もかけて築き上げてきたという『伝統』とやらが、いかに時代遅れで、形骸化したものであるか。それをこの場で証明して見せましょう」
レイドはそう言って、会議室の中央に一歩踏み出した。
ヴァルドたちはレイドの自信満々な態度に一瞬怯んだように見えた。
会議はレイドとヴァルドたちの魔法論の応酬へと発展していく。
レイドはこれまで勇者パーティーで培ってきた、実践的な魔法の知識と五属性すべてを操る圧倒的な実力をもって、彼らの時代遅れの魔法理論を論破していく。
レイドの放つ言葉の1つ1つが彼らの築き上げてきた常識を揺るがし、彼らのプライドを打ち砕いていく。
「魔法とは決して血筋だけで決まるものではない。それは探求心と努力、そしてなによりも、真に強くなろうとする心の力なのだ」
レイドの言葉が会議室に響き渡った。
ヴァルドは、顔を真っ赤にして、なにも言い返せないでいた。
彼の主張がいかに間違っているか、一目瞭然だった。
(さて、ここからが本番だな)
レイドはヴァルドたちが焦り始めているのを確信した。
彼らはレイドの実力と理論の前で、完全に劣勢に立たされている。
この状況をどう打開しようとするか。
レイドは彼らの次の手を静かに待っていた。
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