第2話 王太子レオの企み
「貴様らの言葉など信じられるか!」
レオ殿下は私たちを睨みつけました。
「貴様らはいつも影でメロディスを虐めているだろうが!」
今、私と一緒にいるのは、ロイド様の婚約者である侯爵令嬢エレノア様、コーニエル様の婚約者である伯爵令嬢アルバータ様、デヴィン様の婚約者である子爵令嬢ルビー様です。
私たち四人は皆、メロディスさんに侍っている四人の男性たちの婚約者です。
今日は、言いがかりをつけられたのは私でしたが。
私たち四人とも皆、メロディスさんの言葉を真に受けた男性たちに、度々このように言いがかりをつけられています。
だから私たちは、お互いに助け合うために行動を共にすることにしたのです。
「シャローナ、貴様のような心の醜い女は、王太子である私の婚約者にふさわしくない」
「では婚約を解消してくださいませ」
「出来るものなら、とっくに婚約破棄している。貴様が父親のグラスター公爵に頼んで、私との婚約を維持するよう王家に圧力をかけているのだろうが」
「そのようなこと、私は存じません」
「また嘘を吐くか。貴様がメロディスを虐めるのは、メロディスに嫉妬しているからだろう。メロディスを虐めていることこそ、貴様が私に執着している証拠だ」
あら?
では、私がメロディスさんを虐めていない証拠があれば、私がレオ殿下に執着していないことが証明されるのかしら。
やっていないことを証明することは難しいですが。
「貴様らが結託してシラをきり通すなら、こちらにも考えがある」
レオ殿下は私たち四人を睨みつけました。
「楽しみに待っているがいい」
そうおっしゃるとレオ殿下は勝ち誇るような笑みを浮かべました。
後ろに控えているロイド様、コーニエル様、デヴィン様も得意気なお顔をなさっています。
レオ殿下のあのお顔は、何か企んでいるお顔ですね。
婚約者として親しくお付き合いしてきた私には、レオ殿下のお気持ちが何となく解ります。
私は内心で溜息を吐きました。
あれほど私に優しかったレオ殿下は、今では憎い敵を見るような目で私をご覧になっていらっしゃいます。
溜息も出るというものです。
もうとっくに見切りをつけたつもりですが、それでも心が揺れるのは未練でしょうか。
「ねえ、レオ……」
メロディスさんが甘えるようにレオ殿下に言いました。
「私はただ、シャローナ様たちに謝ってもらえればそれで良いの。あまり酷いことはしないであげて……」
メロディスさんのその言葉を聞いて、レオ殿下たちはやんややんやとメロディスさんを褒め称えました。
「メロディス、君はなんと心優しいのだ」
「加害者のことなど気にする必要はないのに」
「メロディスは寛大ですね」
「さすがはメロディスだ」
私は再び、内心で諦めの溜息を吐きました。
私と一緒にいる令嬢たちも、メロディスさんを持ち上げる男性たちを見て、しらけた顔をしています。
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