第19話 邂逅(蒼龍と魔王)

荒野。


国境だった場所。


蒼龍の紋様を背に、

ユアンは立っていた。


「来たか」


魔王が、現れる。


剣も、軍もない。


二人は、向かい合う。


「お前が、魔王か」


「そうだ」


魔王は、否定しない。


「だが――

お前の敵ではない」


沈黙。


風が吹く。


「同じだな」


ユアンが言う。


「俺も、

“敵役”を演じてきた」


魔王は、微笑む。


「世界を壊したいか?」


「違う」


「……嘘を壊したい」


二人は、剣を抜かない。


その瞬間――

世界は、初めて

正直な対話を始めた。

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