第3話
三 達成
「人類は長らく森の中で樹上生活をしていたが、気候が乾燥して森が草原に変わっていくと、地上に降りて二足歩行を始めた。直立は重い頭部を支えるのに適していたので脳が発達し、自由に使えるようになった前脚で道具を作るようになった。自分たちよりも大きくて強い動物を狩り、高度な社会生活を営むようになった。人類は大きな脳、つまり知性を獲得することで繁栄への道を開いたのだ」
「知能高かったらもっといい大学行ってるっつーの」
「知性のおかげで生存競争に勝ち残った……ってことは、知性なしでも生き残れたとしたら、別に賢くはならなかったってことか」
「そりゃ、家が金もちだったら無理して勉強なんかする必要ねえだろ」
「ちょっと違うんじゃ……いや、同じかな」
「むずかしいこと考えるのって疲れるんだよね」
――今では彼らがなんと違って見えることだろう。そして教授連を知性ある巨人と思い込んでいた自分のなんたる愚かさよ。彼らはただの人なのだ――
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