新学期の初日、教室で活字の海に沈んでいた大人しい少年・悠人は、明るいクラスメイトの少女・詩織に腕を引かれ、衝動的に学校を抜け出します。
向かった先は、街の明かりから遠く離れた山。昼間の熱気が残る畦道から、紫色のグラデーションに染まる薄明の空、そしてインディゴの深い夜へと、星空を目指して進む二人の小さな冒険を描いた青春ストーリーです。
本作の最大の魅力は、時間とともに移ろいゆく世界の色彩と、二人の繊細な心情がリンクする圧倒的に美しく詩的な文章表現です!
「一番星=未開封の夜空のシーリングワックス」といったロマンチックな言葉の選び方や、暗闇の古い吊り橋で強く繋いだ手のひらの熱など、五感に訴えかける描写が素晴らしく、まるで自分も一緒に星空を見上げているような没入感に包まれます。
無数の星が輝く中、自身の弱さを隠してでも「この魔法の夜を終わらせたくない」と願う詩織の切実な想いと、不器用ながらも彼女を支えようとする悠人の姿に、胸がギュッと締め付けられます。
瑞々しくもどこか切ない、忘れられない青春の1ページを深く味わいたい方に、心からおすすめしたい傑作です!