この作品は、事故によって転生した主人公アブーが、魂となって宇宙に存在する巨大な叡智の集合体「アカシックレコード」に触れ、目の前で広がる大海原や数多くの知識に巡り合う・・・なかなか興味深い設定です。
特に面白いのは、疫病という大きな問題に対して、アブーが前世の知識を活かしながら少しずつ周囲を動かしていくところです。
知識があるだけでは解決できず、子供だからこその苦労や資金集め、交渉なども見ることができ、主人公をどんどん応援したくなります!
また、家族や仲間とのやり取りはとても温かく、読んでいてほっこりします。
バーンは、アブーの秘密や古文書の作者について何やら感じるところがありそうですが、言わないその距離感に優しさや信頼を感じました。
シリアスな問題を扱いつつも、アブーの子供らしい言動やコミカルな場面に吹き出しました。
これからこの女の子がどんな知恵と行動力で、この世界を変えていくのか・・・これからの展開が楽しみになる作品です!
エバーレコードパーツ:それは、生前に経験した記憶を、巨大な光の塊=叡智(アカシックレコード) に運ぶための永遠のパーツ、すなわち「魂」のことである。
日本の建築業の監督だった主人公は車にはねられ、エバーレコードパーツとなり、多次元の世界にアクセスし様々な知識を得る。
主人公はこの膨大な知識を持って「おっぱいの大きなかわいい女の子」に転生したいと望んでいたが、叡智に触れた記憶のほとんどは消えてしまう。
しかし、前世の記憶と「建築業」の知識は残っていた。
主人公はピークアブーという名前の女の子として、新しい生を受け、愛する家族とお気に入りの師匠のために進撃を開始する。
感想:5歳児のかわいい女の子の中身は建設業の男で、その一人称視点のものの見方・考え方のギャップに思わずニヤニヤしてしまう。
周囲でいろいろ巻き起こる問題に対して、5歳の少女が、前世の記憶を生かしてどうやって問題解決するか、前途多難でありながらも元気にがんばる姿は、心から応援したくなる。
オススメです!
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転生×商業×戦闘という王道の装備に、
アカシックレコードというスケールの大きな土台を据えながら、
語り手の軽妙なツッコミと人間臭い願望が絶妙に混ざり、
重くなりがちなテーマを軽やかに跳ねさせている。
とくに“未練”と“再挑戦”を、
海への渇望に乗せて描く手つきが見事で、
ただの成り上がりではなく
“記憶に残る生を自ら設計する”意志が芯になっている。
幼少期パートも、
祭りの匂い、
肉の音、
潮風の粒まで立ち上がる感覚描写で、
世界が“住める場所”として
息づいているのが強い武器。
笑いながら読んでいたのに、
ふとした瞬間に刺さる“どう生きるか”の問いが、
じんわり効いてくる。
荒波も疫病も、
全部ひっくるめて“物語の燃料”に変える覚悟が見えるから、
こちらも安心して乗船できる。
ああ、この船はきっと遠くまで行く。
そんな期待を、
気持ちよく裏切らずに膨らませてくれる一作です。
異世界転生や現代知識の活用という形を取りながら、この作品が見ているのは、知識そのものよりも、それをどう人に伝え、どう町の仕組みに落とし込み、どう実際の現場を動かしていくか、という部分なのだと思いました。
疫病への対処も、ただ「現代知識で解決する」のではなく、この世界にあるものをいかに実務に変換するか、に工夫を感じます。
また、アハルという港町の背後には、家族や師弟関係だけではなく、地政学的な背景もにじんでいます。偉大な先代から受け継がれた知識や願いが、次の世代の子どもたちへ渡され、町の未来へつながっていく。
にぎやかな文体の奥に、共同体への強い愛情、総じて子供を優しく見守る父親のような目線が流れている作品だと感じました。
とにかく読みやすい作品。
まずは"試しに……"くらいの軽い気持ちで読み始めて欲しいです。
きっとクセになるはず。おすすめです。
以下は寸感。
主人公が建設業の監督という極めて有能な前世を持ちながら、記憶の曖昧さ、技術水準の乖離を丁寧に書く事で、異世界への適応が自然に表現されていました。
景色・喧騒・街の香りなど五感をフルに用いた描写は、その場に立っているように感じられるほどの臨場感があり、時折、詩的な描写も加わります。
「涙が止まらない」ほどの"美しさ"を伝えたいという意図が、強くあってこその筆致ではないでしょうか?
キャラクター面では、主人公の軽妙なセリフ回しと考え方が魅力で、読むたびに幸せな気分にさせられます。
「二度目の人生、楽しまなきゃ損でしょ!?」
そんな前向きさも感じられるキャラクターが活き活きと動いています。
アカシックレコードから転生した主人公アブーが、港町アハルで家族や仲間たちと成長していく転生開拓ファンタジーです。
まず、アブーの語りがとても楽しいです。
串焼き肉への執念、恋への突撃、脳内実況、謎の作戦名、勢いのある言葉選び。五歳児なのに中身は前世持ちというアンバランスさが面白く、どんな場面でも明るく前に進んでいく姿に惹かれました。
けれど、この作品はただ明るいだけではありません。
疫病、衛生、ろ過装置、浄化槽、水車、職人たちとの連携など、アハルという町を少しずつ良くしていく開拓要素がしっかり描かれています。現代知識をそのまま出すのではなく、この世界の人々に伝わる言葉へ置き換えようとする工夫も面白いです。
また、アブーを囲む大人たちが本当に魅力的です。
ジャバロンとミリアの温かい夫婦、バーンの知性、シャルークが残した未来への置き土産、ライハーンとデミルの頼もしさ。強くて不器用で、でも子どもたちをちゃんと包んでくれる大人たちがいるからこそ、アハルという町そのものに愛着が湧いてきます。
笑える日常の奥には、古代の謎や戦の気配も少しずつ見えてきます。
晶子様の場面では、一気に物語の核心へ触れたような不穏さもあり、明るい語りの裏で大きな物語が動き始めていることを感じました。
笑って読めるのに、町の未来や人の絆がちゃんと残る作品です。
アブーたちがこのアハルをどう育てていくのか、これからも見守りたくなります。
主人公は5歳児なのに、中身は大人。
それもそのはず、前世の記憶を持つ大人が転生しているから。
転生系にありがちな、前世の記憶で無双!なのではななく、世界観はそのままに、前世の記憶(建設業)で少しずつ、街を豊かにしていくお手伝いをしています。
その知識を5歳児が持っているのは不自然だからと、大人に隠れてコソコソやってるのも良かったです。かわいい。
続編が投稿されたら、ぜひとも読みたいです。
さて、この作品の魅力は、この世界観と、主人公の一人称視点の軽快さだと思います。
中の人が現代人なので、言葉遣いやネタが、あるあるな感じで理解できます。
作者さんのノリで、楽しんで書かれているのだろうなと思いました。
やはり、楽しんで書かれた作品は、読者にとっても楽しめるものなのです。
もちろん、作品を生み出すことは、楽しいだけではなかったかもしれないけれど、私にとっては、読んでいて楽しかったし、最後まで追うことができて、良かったと思える作品です。
本作は、単なる「転生×文明改革」という枠にとどまらず、五歳児という制約を背負った主人公が、年齢の壁にぶつかりながらも社会そのものを動かそうとする物語です。
衛生管理、都市構造、循環型資源、浄化槽構想、制度設計、交渉術――
そうした“社会を動かす設計図”が丁寧に、しかも非常に分かりやすく積み上げられていく過程こそ、本作最大の魅力だと感じました。
一方で、串焼き肉への執念やおねしょネタといった軽やかなコメディが物語の緊張をほどよく緩め、重くなりすぎない絶妙なバランスを保っています。
情景描写やバトルシーンの臨場感、そして個性豊かなキャラクターたちの存在感も印象的です。
笑いながら読み進めているのに、気づけば世界の設計図を覗かされている――そんな知的な驚きと楽しみを深く味わえる、とても魅力的な作品だと思います。