スチームパンクならぬ「ブラッドパンク」小説。とはいってもスプラッター作品というわけではなく、むしろ「粋で泥臭い、痛快なお仕事アクション小説」という印象を受けました。
本作において、血液は世界観の土台であるだけでなく、もう一つの重要なファクターである「縁(エニシ)」とも深く繋がっています。因縁。腐れ縁。袖振り合うも多生の縁。様々な縁が各章(エピソード)で描かれ、血生臭い世界観で粋に映える雅は、間違いなく本作の真骨頂と言えるでしょう。
一方、アクションとしてはゴリゴリの異能バトルになりますが、モチーフや設定の細かな作り込み、そしてメリハリの効いた筆致のおかげで「血を用いた異能バトル」という文字列から受ける印象よりも遥かに重厚、ある種ハードボイルドとさえ言える(それでいて、少年漫画的なアツさのツボはしっかり押さえた)手触りになっています。某特撮ヒーローへの熱い想いが端々に滲んでいる点にも思わずニヤリ。
ifの日本で繰り広げられる、血生臭い戦いと雅な「縁」の物語。一見歪な単語の羅列に少しでもピンと来るものがあった方は、是非本作を覗いてみてください。