ダンジョン管理局
春野ふみや
ダンジョン管理局について
ダンジョン管理局とは、
世界各地に存在するダンジョンの
設計・運営・保守、ならびに安全基準の策定を担う公的機関である。
各ダンジョンに設置される罠の種類、数、間隔、
モンスターの配置数や休憩可能時間、
通路の幅や階段の傾斜角度に至るまで、
すべては管理局の定めた細かな規定に基づいて決定される。
これらの規定は非常に厳格であり、
一項目でも違反が確認された場合、
即座に是正勧告、再設計命令、
あるいは書類三枚分の追加提出が命じられる。
なお、管理局の公式見解として、
「冒険者を確実に排除すること」は
業務目標には含まれていない。
あくまでダンジョンとは、
冒険の場であり、試練の場であり、
運が悪ければ命を落とす場所、
という扱いである。
その結果、
「どう考えても危険すぎる罠」が却下される一方で、
「どう考えても意味のない罠」が
規定を満たしているという理由だけで
採用される事例も少なくない。
冒険者が想定以上に早く最深部へ到達した場合、
管理局はこれを
「進行速度に個人差があったもの」として処理する。
逆に、開始直後に落とし穴で即死した場合も、
「規定上、問題はなかった」
の一文で報告書は締めくくられる。
――以上の理由から、
ダンジョン管理局は今日も胸を張って、
「職務は適切に遂行されている」と結論づけている。
以上が管理局の公式見解です。
なお、私はこの見解に一切同意しておりません
――ダンジョン管理局副局長 セラフィ
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