男2

男は皆を信じていた。


しかし、男の最も愛する人が不貞を働いた。


男は誰も信じられなくなった。


男は夜の街を彷徨った。


男はフラフラと歩いていた。


男は知らぬ場所に行きたくなった。


男は入ろうと思った事もない路地裏に入った。


そこには一つの店があった。


そこのショーケースの中にはメガネが置いてあった。


青白く光り、とても不気味だった。


しかし、男は無性にそれが欲しくなり、それを買った。


店主はにこにこと笑っていた。


男はそれを掛けて外に出た。


そこには老夫婦が歩いていた。


男は彼らを見た。


そして、ワッと声をあげて尻餅をついた。


彼らの肩の上に、何か文字が見えたのだ。


男はもう一度よく見た。


すると、そこには


「あなたと共に死にたい。」


「あなたに先に逝って欲しくない。」


とあった。


男は店があった方を見た。


しかし、そこには何も無かった。


男は家に帰り、


「これは彼らの思っていることを写している」


という仮説を立てた。

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シンジツ @magis

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