スターライドアイドル protocol version 

主道 学

第1話 マイクが空から降ってきた

「Ladies and Gentlemen!! It's finally begun.It is one of the world's largest stages that showcases all the brilliance of idols.Now, with idols who reach this peak,」

(レデイ―ス アンド ジェントルマン!! いよいよはじまりました。アイドルたちの全ての輝きをかけた世界最大級のステージです。さて、この頂点に達するアイドルとは?)


 派手な服を着こなした司会者が広大なホールへ向かって、英語でイベントを進行させる。いよいよこれからはじまるのだ。スポットライトに照らされたアイドルは世界中から参戦してきたアイドルグループたちで、イギリス、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、中国。そして、日本が参加していた。


 この中で、今年のトップが運命によって決まるのだ。


 しかし、ここへ来て、この世界最大級のイベントは突然にして幕を閉じざるをえなくなった。


「キャ―――!!」

「イヤー! キャー!!」

「ウワーーーーーー!!」


 入り口から次第に大きくなってくる悲鳴と共に、徐々に武装した覆面マスクの集団が姿を現し、会場へと乱入してきたからだ……。


「If you resist, I'll shoot you.」

(抵抗するなら撃つぞ)


 いつの間にか現れた、覆面マスクを被った集団のリーダーのような男が、瞬間移動をして、派手な服装の司会者へ銃を向けて冷酷に告げた。


 ……


―――――


「英語さっぱりわかりませんねえー……字幕もないのかよ。ふざけんな」


 推しのアイドルも見えないし、これも演出だと思って、テレビを消してそっぽを向くため寝返ってしまう。ついでに、素早くポテトチップスを袋から光速で、一枚抜き取ってやった。


 ポリポリ、ポリポリ。


 パリパリ。パリパリ。


「うん! 美味い!! やっぱ、おやつはこれだよなあ」

「お兄ちゃん? あー、またポテチ散らかしてる?!」

「うん? いや……」 

「そんなんじゃ、いつか豚と牛に同時になるよー」 


 俺は更にポテチを袋から引っこ抜く。


「ふははははは! 聞いたこともないぞ! 妹よ! ポテチ食って品種改良されたなんて話!」

「お兄ちゃんは、いいんだよね。学校終わって、進学も就職もしないで、家でゴロゴロしていられるし」

「いや、大事なことが残ってるんだ。学校はまだ終わっていないぜ」

「佐江島さんにコクって死ぬこと」

「そうそうコクって……だあーーーー!! 自信がー! 自信が死んじまったーーー!!」

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