第9話 アザミ

先輩が卒業して、数ヶ月経った。


特になにか問題を起こしたり、

私自身に変化があったわけではないが、


同級生が挨拶してくることが減った。


学校で話す機会が少なくなった。


遅刻ギリギリに学校に着くことが多くなった。


ゆっくりと、時間をかけて。


……たしかに、私から挨拶したことなんてない。


……よく考えれば、私自身の話をしたことはない。


……別に、遅刻しなければなんの問題もない。




つまらない日常に戻ってきただけ。




ただ、これじゃ顔向けできないなって思った。


少しずつでも変わろうと思った。




「おはよう」

たったこれだけの言葉が、

喉の奥で掠れて出てこなかった。

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