まだ温度は残っている

かんざし こころ

第1話 朝顔

――朝だ。




 目を開けた瞬間、

 カーテンの隙間から射し込む光で、部屋の曖昧な輪郭がくっきりと戻ってくる。


 息を吸う。

 私の部屋の匂い。

 机、椅子、鞄、収納棚、どれも見慣れた私の部屋。


 アラームがなる前に起きれたことに、多少の優越感を感じながら、スマホを開いて時刻を確認する。


【5:41】


 学園祭まで、残り数日。


 生徒会の仕事もあって、ここのところはいつもより早く家を出る必要がある。


 まだ世界が完全には目覚めていない時間。


 静寂のなか、窓からの光に、背中を押されるように起き上がった。

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