自分をモブだと評する語り手が自分のイケメン彼女の事を話していく本作。
全男性が見習ってもいいくらいに言動がスマートで、語り手もその魅力の虜になっているほどにイケメンな彼女。その彼女のよさに浸りながら読み進めていくというだけでもいいが、それだけじゃないのがこの作者さん。
作中のところどころに散りばめられた遊び心と文章からも感じ取れる言葉選びのセンス、そして待っているラストに触れた瞬間にまた最初から読み返したくなるほどの面白さもありながらしっかりとした読みやすさもあるので二度、三度と読む楽しさもある。
本作はこの作者さんの中での新しい試みがあり、その試みが作品をより深みのあるものへと変えていて、この作品を味わい深いものにしている。
ただのラブコメとはわけが違う。そんな一作品になっているのが本作だと思っている。文学作品のようなしっかりとした描写力と甘過ぎないがそれでもたしかな甘さのあるスイーツのような恋愛模様と思わずクスッと笑ってしまう地の文をここまでの長さで楽しめるのかと思ってしまうほどにスキマ時間でも楽しめるので本当にオススメ。
ありふれたラブコメに疲れている人や少しの時間でもラブコメを楽しみたいという人、他にも作者さんの他作品を読んでその世界観の虜になっている人など様々な人にオススメできる一作なので、タイトルを見ただけで手に取るのを止める事を止めて、是非一読してみてはいかがだろうか。