第2話 季節の変わり目

詰んだ...

生温かい温度を感じながら今の状況を

意外と冷静に思考する

幸いにも周りに人の気配はない

とりあえずケータイを黒のパーカーのポッケから

取り出し電話をかけようとするが

待って...

どう説明しよう

その人は誰で なぜオレに刺させたのか

凶器が千枚通しなのはどうしてまで考えた

答えは出ない

とりあえず救急車を呼ぼう

電話のかけ、普通に話せているようでおそらく声は震えてたと思う

隊員の優しい声に安堵を感じながら場所と状況を

伝えた

10分くらいで到着するとのことであまり動かないようにじっとその人を見つめる

手に握る千枚通しを離そうとするが右手は硬直して手放せない

この10分は忘れられないくらい長く感じると

同時に疑問に向き合うための時間にあてた

といっても解決することはない

昔のことなど記憶するほど輝いてないし

オレの性格は今も昔もコミ症

自分で言ってため息がでる

そうこうしてると救急車のサイレンが近づいてくるのに気がつく

降りてきた隊員に状況を説明する

電話の時より声の震えは治ってると思う

そして右手の千枚通しもゆっくり離されていく


救急車に一緒に乗り街で1番大きい病院に向かう

車中横たわるその人を見つめ息していることを

確認して胸を撫で下ろす

道中隊員が話しかけてきたが内容は覚えていない

どう答えていたのかも知らない

それほど冷静を欠いていたのだろう

病院に到着しその人は治療室へ連れていかれ

オレは外の待合室の長椅子に腰を下ろす

少しして廊下の向こうから2人の男が近づいてくるおそらく警察だろう

バイトの帰り道であること 確信はないが高校の同級生であること その人との関係性 

凶器は千枚通しであること 自分には殺意がないことを話し警察はそれをメモしていた

淡々と話しをする警察は少しこわく感じた

とりあえず今日は帰っていいとのこと

後日警察署に来てほしいとのこと

低い声で説明されるこの人とは仲良くなれないと

今は関係ないことを思った

だいぶ時間が経ち手術は終わり息してるとのこと

意識なく眠っているので今は話しはできないことを先生から聞きながらようやく家に帰えることを

喜ぶ

思ったより疲れていたのか帰り道の足取りは重く

思考を止めていた

あっという間にボロい階段をカンカン上り

部屋に着くなりそのままベッドに倒れこむ

この時未来のことを考えておくべきだと今思えば

後悔する


朝、今日は午後から引越しのバイトが入ってることを確認しそれとパンが無いことも確認した

パンが安く手に入る近くのスーパーに調達するため薄めのシャツを羽織り財布、ケータイを持ち

装備を整える

いつものように部屋を出て鍵をかける

その時ふとドアの横に紙が貼られていることに

目を向ける

じっと目で内容を読んでいく

端的に言うと退去願いとのこと

このタイミングはないだろうと思いながら

肌寒くなったことに冬を感じ行き先を

服屋さんに変更する

黒のダウンはあるだろうか

たわいのないことを考えながらボロい階段を

カンカン降りていく


寒い...

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